社長を目指す方程式

あなたの身近に潜む“危険なリーダー” その特徴と身を守る術 (1/3ページ)

井上和幸
井上和幸

《今回の社長を目指す法則・方程式:ビル・エディ「いかさま王の3つの特性」》

 コロナ禍に危険なメッセージを発信する“エセ・リーダー”。これは政治の世界だけでなく、私たちの身の回りのそこここに出没しています。間違ったリーダーや情報を信じてしまうと、結果として自分までが間違った行動をとってしまい、窮地に陥るなどということも容易に起こりえます。

 上司としては、事業やチームを預かる身としても、もちろん自分自身のキャリアのためにも、無用な対立や危険人物に巻き込まれないことは非常に重要です。そういった相手をどう見極め、防御、対処すれば良いのでしょう?

 架空の危機を煽る“危険なリーダー”

 あなたにとって理想のリーダー像とはどのようなものでしょうか? 特に現在のコロナ禍という「有事」におけるリーダーには、強いメッセージと国民や社員たちをグイグイ引っ張るカリスマ性を求める傾向が強まります。そして、こうした「ヒーロー待望論」が強まる時期には、真のヒーローと共に、危険なヒーローが現れやすいのも時代の織りなす綾です。

 ヒトラー、ムッソリーニ、毛沢東、スターリン、トランプ。政治の世界ではこうした人物たちが、国を救う救世主として現れ、結果として自国や世界を破壊してきました。国家レベルから日常レベルまでの対立紛争を解決するハイ・コンフリクト・インスティチュートのコンサルタント、ビル・エディは著書『危険人物をリーダーに選ばないためにできること』で、彼らのメッセージには共通したフォーマットがあることや、その特性である<対立を煽り自分の地位を築こうとする「いかさま王」>について紹介していて、非常に興味深いです。

 上記の政治家たちのメッセージに見られる共通フォーマットは、このようなかたちです。

「いま、私たちに恐ろしい危機が迫っている!」

「その原因は、あの忌まわしい悪者だ。この悪者はとことん邪悪なので、滅ぼさなければならない」

「私たちは素晴らしいヒーローに従う必要がある。ヒーローはすぐに悪者を退治して危機を解決してくれるだろう(そのヒーローは、私だ)」

 ビル・エディはこれを「架空の危機の三段論法」と呼んでいます。

 これ、どうでしょう? 政治家だけではなく、識者やコンサルタントたちもメディア向けに使う論調ですし、救世主型の経営者も同様のメッセージを社内外に発信することがよくあります。

 さらにもっと身近な例として、あらゆる組織でこうした論法で<敵陣の掃討に立ち上がる人>は、折々現れますね。もしかしたら、いま、上司のあなたが直接関わる組織の中にも存在しているかもしれません。

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