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元バンド少年少女がターゲット? フェンダーにレクサスカラーをまとわせた狙いとは (1/3ページ)

秋月涼佑
秋月涼佑

 プライスレスというマスターカードの惹句は、カード決済というどこまでもプライス=お金の価値を通じてのサービスを提供するが宿命、カード会社のタグラインだからこそ逆説的な表現として成立し得る秀逸なものだと思いますが、実際世の中にどれほど真にプライスレス=“金額で表現できないほど素晴らしい”というほどのものがあるでしょうか。と考えれば、家族、友情、思い出、青春などかけがえのないものは概ね金銭的価値の評価を超えたものであることに否が応でも気付かされます。

 とは言え「お金で買える幸福はない」などとまとめるのもまた野暮というもので、人知を超えた事象に左右されるがゆえプライスレスな人生の様々な出来事に対し、人間が企画開発製造できるモノやサービをせめてもの生きる“よすが”にしようというのが、涙ぐましいまでの人類の営みに違いありません。

 そうは言っても、ある種のプロダクトは存外にプライスレスに近い価値観を我々に与えてくれるものであることもまた事実。もちろん宝飾品や筆記具、時計など人から人に受け継がれていくものの中には、当初売り買いされた時点での市場価値では計り知れない特別な記憶と意味が込められる場合があります。

 個人の持ちもの中でも、やはり青春時代に打ち込んだ「趣味」(という言葉でだけでは自分にとっての意味合いの深さはとても表現できないように思いますが)に関わるアイテムは、格別の思い入れとともにあって今となっては眺めるだけになってしまい、かつ広くもない居住空間を考えてさえも、なかなか捨てられずにいたりもします。

■バンド少年少女がレクサスのターゲット世代に

 それにしても、テレビや新聞で取り上げられる芸能人や著名人、例えばそれが経営者などアーティスト系の方でなかったとしても、学生時代にバンド活動に精を出していたとおっしゃる方が思いのほか多いことに気がつきます。最近自民党総裁候補者として挑まれた女性議員などもまさにそのおひとりでしたが、今まさに働き盛りの世代が若い頃かなりの時期にわったってバンドブームがあったのです。

 高校や大学の学園祭では出演バンドにこと欠かず、そう言えば地上波でさえ「イカ天(いかすバンド天国)」なるアマチュアバンドコンテスト番組が制作される時代があったわけです。やはり個人が好むアクティビティというのは十人十色でレジャー白書などを見ても、誰もが知っているようなメジャーな活動でさえも参加人口率で言えばそれぞれ数パーセント程度だったりします。それでもそれぞれのバンド活動に多くの若者が取り組んでいた時代が確かにあったのです。

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