そのためには「知ってるねえ」「分かってるねえ」という部分は絶対外せないわけで、半可通ほどファンを白けさせることがないことを考えれば、そこはブランドの世界観を伝えるための一プロモーションと言えども最もコアな人間をも唸らせるレベルが必須に違いはありません。
今回の『FENDER(R) LEXUS LC STRATOCASTER(R)』を見る限り、そんな中途半端さは杞憂であることに気づきます。まず、モルフォ蝶から着想を得たというストラクチュラル・ブルーというフィニッシュは、薄いメタリック・ブルーから深いミッドナイト・ブルーまでを生み出すということで、米国向けに計200台のみ生産されたレクサスLC 500 Inspiration Seriesのクーペとコンバーチブルに使用されたものと同じ塗装を採用してるそうです。
確かに自動車の開発におけるカラースキームの位置づけは、外部から考える何倍も重きをおかれて時間と費用をかけ開発されていることを考えれば、そのカラーリングが世界100本限定のギターに採用されることはそれだけでスペシャルなことです。
このコラボは米国拠点を中心に実現したもののようですが、ロック世代がマーケティングのイニシャチブを握るようになったことで自然と実現したことは想像に難しくありません。
■まだまだ大きい、高級車ブランドのタイアップポテンシャル
巨大なマーケティング活動規模をもつ自動車産業、まして高級車ブランドともなればそのブランド価値も莫大です。そんなリソースをタイアップという、他のプロモーションに比べれば総じてコストパフォーマンス安く、しかも企画が良ければむしろ自然体でブランドの良さをアピールできる結構尽くしの手法がさらに拡大しないわけはありません。まだまだなるほどという打ち手はあるように思います。
実際にレクサスも北米でレクサスブランドの高級スポーツヨットをリリースするなど余念がありませんし、フロリダにはアストンマーチンコラボレーションの高層レジデンスなどもあるとのことです。
一方で、あまりにもライフスタイルに寄り過ぎた訴求ばかりが続けば、自動車本来の価値観から離れたものにしてしまい、ブランドを取って付けたような軽い存在にしてしまうリスクもあるように思います。何事もさじ加減とは思いますが、少なくとも今回世界限定100本の限定フェンダーストラトキャスター、日本でも842,600円 (税込)という金額は大人買いに絶妙かもしれません。前よりもちょっとレクサスが好きになった元バンド少年少女も少なからずと言えるのではないでしょうか。
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【ブランドウォッチング】は秋月涼佑さんが話題の商品の市場背景や開発意図について専門家の視点で解説する連載コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら