信長の安土城が復元? 「千載一遇のチャンス」も費用・設計図どうする (1/3ページ)

安土城のあった安土山一帯。滋賀県が天守復元の検討を始めた=滋賀県近江八幡市
安土城のあった安土山一帯。滋賀県が天守復元の検討を始めた=滋賀県近江八幡市【拡大】

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 天正7(1579)年、織田信長が琵琶湖東岸の安土山一帯(現在の滋賀県近江八幡市下豊浦)に築いた安土城。5層7重の豪壮華麗な天守を構えたが、完成からわずか3年後、「本能寺の変」後の動乱の中で天守と本丸が焼失し、その後廃城となった。その天守の復元に向け、滋賀県が来年度から本格的な検討を始める方針を示した。構造について詳しい記録が残っていない戦国時代の「幻の城」をどのように再建するのか。多大な費用も見込まれ、県民や関係者の間には期待と不安が渦巻く。(川瀬充久)

大河ドラマがきっかけ?

 「安土城がどういうものだったのか、どういう地域や時代や社会をつくろうとしていたのか。いま一度学んだり知ったりする機会にしたい」

 滋賀県の三日月大造知事は1月4日、年初の定例記者会見で復元の構想を語った。具体的な計画は未定だが、調査に関する費用を平成31年度当初予算案に盛り込む方針だ。

 安土城については以前から復元を望む声があるが、詳しい史料がないため進んでいない。いわば滋賀にとって長年の懸案。それが、ここにきて本格的な検討が始まったのには幾つか理由がある。

 一つは来年放送予定のNHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」で、主人公の明智光秀や主君の信長にゆかりの深い滋賀に注目が集まることへの期待感がある。

 大阪や京都に観光客を奪われ、宿泊客や外国人観光客が伸び悩む滋賀にとって、大河ドラマ放送は「千載一遇のチャンス」(三日月知事)。安土城復元が進めば、さらに話題を集めることになる。

ブームも背景に