燃費でプレッシャー「あったと思う」

三菱自不正・2回目会見詳報(1)
三菱自動車の燃費データ不正問題で、国交省への報告を終え会見する相川哲郎社長(中央)。会見冒頭、深々と頭を下げた=26日、東京・国交省(早坂洋祐撮影)

 ≪26日、国土交通省の記者会見室には約200席が用意されたが、席に座りきれず会場の床にしゃがみ込んで会見に備える記者や、撮影しやすい場所にカメラを設置するカメラマンもいる。報道陣が待ち構える中、午後4時30分、三菱自動車の相川哲郎社長らが入り、頭を下げながら着席≫

 相川社長「三菱自動車工業の相川でございます。当社製車両の燃費試験における不正行為に関わる国土交通省への報告についてご説明いたします。当社製車両の燃費試験における不正行為に関し、4月20日に国土交通省より受けた調査指示につき、本日報告書を提出いたしましたので、概略につき、以下の通りご報告いたします。

 1.当社製軽自動車における燃費試験データ不正の経緯について。

 (1)14型『eKワゴン』『デイズ』に設定されている4つの類別(燃費訴求車、標準車、ターボ付車、4WD車)のうち、燃費訴求車の開発において、目標燃費は当初26.4キロメートル/リットルであったが、その後の社内会議で繰り返し上方修正され、最終的には29.2キロメートル/リットルまで引き上げられた。

 (2)同燃費訴求車につき、法規で定められた惰行法と異なる方法「高速惰行法」で走行抵抗データを実測。燃費をよく見せるため、計測したデータの中から小さい値を選別し、走行抵抗を設定した。残る類別については、実測を行うべきところ、同燃費訴求車の値を基に机上算出した。

 (3)14型『eKスペース』『デイズルークス』、15型『eKワゴン』『デイズ』、15型『eKスペース』『デイズルークス』、16型『eKワゴン』『デイズ』のいずれについても、14型『eKワゴン』『デイズ』を基に目標燃費にあわせて机上算出し、申請していた。

 2.法規に定められたものと異なる測定法「高速惰行法」使用の経緯について、以下のいずれについても当時の判断理由については調査中。

 (1)1991年、道路運送車両法により走行抵抗の測定法が「惰行法」と指定されたが、当社では異なる「高速惰行法」で国内向け車両の計測を始めた。

 (2)1992年1月、走行抵抗から惰行時間を逆算する計算法が作られた。

 (3)2001年1月、「惰行法」と「高速惰行法」の比較試験を実施し、最大2.3%の差にとどまることを確認。

 (4)2007年2月、試験マニュアルにより、「DOM(国内)はTRIAS(惰行法)」と追記改訂されたが、以降も「高速惰行法」を継続して使用していた。

 3.今後の調査方針について

 (1)上述の経緯1、2について、一定の調査が進んだ者の、原因や責任については未解明であり、引き続き調査を進める。

 (2)上述の軽自動車以外の当社製車両についても十分な調査が進んでおらず、引き続き調査の上、別途ご報告する。

 【各社質問】

 --社内会議とはどんな会議で、どんなメンバーか

 中尾龍吾副社長「社内会議は商品会議で、社長以下役員が出席する会議でございます」

 --最大2.3%の差で上下はあるのか

 中尾副社長「今回この車種においては走行抵抗が2.3%大きい方にずれていたということです」 

 --前回の会見に時に、各車種について調査し始め、1車種目については先週中に終わる予定だったということだが

 中尾副社長「今回まだそこのところまではすべて分析できておりませんので、全車種については、すべてが出そろった状態で、本件についてはご報告をさせていただきたいと思っております」

 --良い方もでてきているのか

 中尾副社長「あります。両方でてきております」

 --いつから高速惰行法で試験していて、何車種行っているのか

 中尾副社長「国内向けは91年から高速惰行法で行っており、車種数は全部カウントできていない」 

 --2、3の高速惰行法のほうが走行値が厳しい値になったのか

 中尾副社長「この車の試験の時はその値がでているということ」

 --燃費目標の値を達成するために机上算出したのか

 中尾副社長「燃費の目標から逆算している。あわせる形で設定している」

 --1992(平成4)年からデータを改竄(かいざん)してきたということか

 中尾副社長「92年の計算法というのは高速惰行法で取ったデータから惰行法に置き換えるというもので、そういった意味で言うと、国内の法律に対して違う方法でとったものをそれにあわせるということですから、そういった解釈をされた仕方がないことでございます」

 --データ改竄を意図的に行ったのか

 中尾副社長「そういうことでございます」

 --経営危機に陥っても仕方がないが、今後どのような展望を考えているのか。また進退については

 相川社長「この問題の全容が把握できておりません。この問題が解決されるめどが立つまでは現時点ではお答えができない。それぐらい大きな問題だと感じております。全貌が分からないと」

 --支援要請の話はしていないのか

 中尾副社長「まだそこまではしていない。全貌が解明できないとそこまではできない」

 --2012年に他社が燃費性のを上回る商品を発表すると三菱自はそれにあわせたかのように発表した。組織的に焦りはあったのか

 中尾副社長「軽自動車の世界においては燃費競争がある。他社の情報が入ったときに、当社としてその値が達成できるのかということを技術部門にはなげて、できるとの回答であれば引き上げようとなっていた。技術的な手法を報告受けていた。それに基づいて行っていた」

 --日産からの指摘だったが、自浄作用は働かなかったのか

 中尾副社長「結果的には足らなかったということだと思います」

 --社内会議で燃費引き上げの権限はどのようになっているのか

 中尾副社長「目標の提案というのは社主の責任者が採用するか否かは商品会議のなかで議論した中で、最終的には社長が判断します」

 相川社長「社長に挙がってくる段階ではめどがたっているということで会議を行う。メンバーはそれができるという根拠があってでてきたものということで議論を行う」

 --会議に出てきた段階で数字を引き上げの権限は、性能実験部の部長という話があったが、権限がある人間を教えてほしい

 中尾副社長「目標燃費についてはプロダクトエグゼクティブという人間から提案がなされる。その人間が開発本部に投げて、どうやればできるかを検討した結果、シミュレーションを含めて可能であるという結果が出たら、プロダクトエグゼクティブから提案がなされる。逆のケースもあり、目標達成できない場合はプロダクトエグゼクティブから提案がなされる」

 --高速惰行法の導入経緯は調査中だが、業界内で気づくと思うが、なぜ三菱自動車だけ気づかなかったのか

 中尾副社長「この経緯は最終的にしっかりと解明していくが、1978年から米国の排ガスをとるために高速惰行法を始めた。米国向けに関しては、高速惰行法で走行抵抗を出していく。日本は、91年に惰行法を採用することに変わった。日本向けは惰行法にすべきところをしなかった」

 --20年間以上どこかで気づくと思うが

 中尾副社長「この車の開発が当社が行っていたので、社外からの声もあがってこなかった。社内で自浄的に行うべきだったが、できていなかった。その理由は、われわれだけでのヒアリングでは厳しいので、部外者から調査をしていってもらって、解明してきたい」

 --データを意図的に改竄したこと、不適切な試験方法を使っていたことがあるが、計以外のところでも不正はあったと言っていたが

 中尾副社長「そういう発言はしておりません」

 --意図的にデータを改竄したと言ったのでは

 中尾副社長「高速惰行法から惰行法になされる計算がなされているということで、その間に意図的にデータを改竄しておりません」

 --数字を不正に改竄したのは4車種だけか

 中尾副社長「そうです」

 --NMKV軽自動車の企画開発会社がどこまで関与していたか

 中尾副社長「同社は企画開発の合弁会社で、当社と日産自動車が両方から出ている。商品企画に関する部分は、両社の商品企画の人間が議論してこの企画で作ろうと議論して、各社内会議にかけて、具体的に実際の開発内容というのはNMKVから当社が委託開発されているという形態を取っている。NMKVには当社の設計部門の人間が出向していまして、情報の共有化を図って、具体的な試験内容についてはNMKVでは議論されていない」

 --燃費の目標値についてプレッシャーがかかったという認識はあるのか

 中尾副社長「今回の結果から見ればプレッシャーはかかったんだろうと思う」

 --三菱の車を買いたくないという声もあるが

 相川社長「誤った燃費の数字を記載してしまい、誠に申し訳ございません。おわびするしかございません」