「データ操作は年式変更の際にやった」
三菱自不正・2回目会見詳報(3)--不正操作の背景として、競合メーカーの車の性能向上を意識していたのか
中尾副社長「競争社会なので、そうした事情がなければ不正は行わなかっただろう」
--今後、新型車の開発はどうする考えか
中尾副社長「いろいろな確認試験を最優先にして行っていく」
--燃費以外の検査項目について、確認していくのか
中尾副社長「開発・設計・試験、全部門の人間を動員して、ちゃんとしたルールに基づいて試験が行われているかどうか、すべて確認している最中だ」
--報告に対し、国交省からどんなことを言われたのか
相川社長「試験のやり方を変えなければならないような重大な問題であり、業界全体に与える影響も大きいので、徹底的に調べて報告するようにと指示された」
--さらに調査を求められた、ということか。4車種について正確な数値がまだ出ていないということか
相川社長「特定している最中だ。すべての数値が出た時点で報告したい」
--不正操作はフェイスリフト(外観変更)の際に行っていたのか。なぜそのタイミングで行われたのか
中尾副社長「フェイスリフトというか、年式変更の時点で行った行為だ。どうして起きたかについては、まだ背景や、誰がどうした形で行ったかは調査が進んでいないし、特別調査委員会に外部の客観的な目でチェックしてもらおうと進めている」
--部長が前言を翻したそうだが、それ以外に関与を認めている人はいないのか
横幕開発本部長「調査の内容については控えさせてほしいが、不正を非常に長い期間行っており、すでに職責を離れた関係者もいるので、対象者のリストアップなどを進めている状況だ」
--報告書は27日が期限だったが、前倒しで今日報告したのは
中尾副社長「明日は決算日ということもあり、それと切り離さないと対応できなくなるため、『26日に報告させてもらいたい』とわれわれからお願いした」
--燃費の他、排ガスについては影響が出ない、その認識は変わらないか
中尾副社長「その認識は変わっていない」
--試験の際に、一番良い測定データをとったもようとのことだが
中尾副社長「中央値でなく、下の方の良いデータからとっていたそうだ。一番いいデータを一つ選ぶやり方ではない」
--14型eKワゴンデイズについて、何を目標にして、何を机上で算出して走行抵抗値を出したのか、仕組みを教えてほしい
中尾副社長「目標燃費を達成するためには、走行抵抗がこれくらいでないと達成できないという所から達成できる抵抗値を算出し、それを提供していた」
--16型は、エンジン性能が上がっていない前提で算出していたのか
中尾副社長「エンジン性能自体は上がっていないと思っている。ただタイヤの転がり抵抗などは改良されているのが事実で、そうしたことも含めて算出しているとのことだ」
--すでに特別調査委は立ち上がっているのか
相川社長「昨日、取締役会で決定し、本日から活動している」
--三菱の系列店に対し、つなぎ融資も含めて支援をどうするのか。自工会の年度替わりに当たって、副会長職を返上する考えは
相川社長「系列店に対しては、営業本部が個別に状況を把握してサポートしたいが、まだ具体的にまとまっていない。自工会の役職については別途考えたい」
--現在、生産が止まっているが、改めて全車種の燃費試験などをいつまでにやり直す考えか。またeKとデイズは、再試験の後に生産と販売を再開する考えか
中尾副社長「軽乗用車の試験は近々に終えて、5月の連休明けには提示したい。生産・販売の再開については、最終的には国交省の公式試験を受け、その結果次第になる。われわれからは言えない状態だ」
--社長の現時点での考えは
相川社長「私からはコメントできない。なぜかというと、今回の問題を国交省がどう解決したとみていただくか、その時期がわからないと。再申請ということになるので、私からは申し上げられない」
--最終的に、顧客の利益より自社の利益を優先したことが複数起きているが、何が要因だったと考えているか
相川社長「真の原因を突き詰めないと、軽々しく答えられる状況ではない。問題は深刻だと受け止めている」
--組織的な要因もあると
相川社長「それも外部の調査を受けないと、自ら述べられない。申し上げても信用されないと思っている」
--(不正の)指摘から社長への報告まで5カ月掛かった。前回会見では「さほど遅くない」と言っていたが、改めてどう感じているか?
相川社長「前回申し上げたのは『私のところまで上がってくるまで長期でなかった』という認識だったが、やはり『何かおかしいことには原因がある』『判明した時点で、とにかく報告するのが必要』だと改めて思っている。対応が遅かったと思っている」
--不正の指摘とはどの時点か
相川社長「データに不正な操作があったとわかってからだ。本来のデータとは異なるデータが使われていたと」
--現状では不正を行った人間は一人も見つかっていないと
相川社長「(しどろもどろに)それについては、ここで申し上げられる状況ではない」
--不正が長期にわたっている。背景として「業界の他社でもやっている」という雰囲気があったか
中尾副社長「そうした発言や雰囲気はない。そうしたリポートは見つかっていない。徹底的に、過去の経験者を外部委員にヒアリングしてもらい、客観的な目で調べてもらいたい」
--長期にわたっていた背景にそうしたこともあるのでは
中尾副社長「わかっていないので、控えたい」
--連休明けに出す実測値は、全車種か
中尾副社長「軽乗用車については連休明けまでに対応したい。それ以外の車は、いつまでにと今の時点では言えない状況だ。というのも、全車両を用意して走行抵抗を調べ、排ガスデータをとる。しかも1データだけではなく複数とるとなると、膨大な試験になる。今手順を作っている段階で『いつまでに』とは言えない」
--第三者委員会は今、何を行っているのか
相川社長「特別調査委で何をやっていくか、まだ今日から、日程も含めて話し合っていただいているが、まずこの件に係る事実関係の調査、また類似した不正の有無の調査、またいずれの問題についても原因分析と再発防止策の提言をお願いしている」
--ユーザーへの補償については
相川社長「燃費が実際にどうだったか、調査結果が国交省に受け入れられて、その段階で初めて具体的な内容を決めることになる。これは特別調査委とは別に、できるだけ早く対応したい」
--日産との間ではどんなやり取りを
中尾副社長「ここで発表したことを逐次連絡し、了解をいただいている」
--日産は販売機会を失い、日産ユーザーにも迷惑をかけている。自社だけでなく他社のブランドをも傷つけていることへの所感は
相川社長「大変申し訳なく思っている。とにかく、われわれにできるのは信頼を回復することだけであるが、日産のお客さまにどうした補償をするかも、両社で協議をしている。『お客さま対応が第一』だという認識で共通している」
--海外への対応、米国当局からの調査依頼にどう対応している
中尾副社長「今日時点では、すべてが明確になっていない。米国向けの車に関しては、すべて米国法規に沿った試験データがあるので、それを監督官庁に別途報告したい。他国についても同じように、すべてのエビデンスを付けて報告することになろう」
相川社長「必要なデータをとりながら、関係官庁に説明に上がることを予定している」
--米国以外の欧州やアジア向けも、その国の方法に沿った試験を行っていたのか
中尾副社長「米国向けは『高速惰行法』、欧州向けについては『惰行法』をベースに、きちんとしたデータが届けられていると確認している。それを各官庁にお話しさせていただきたい。基本的に、アジアでは『欧州で認証を受けていればOK』という国が多く、それで海外の多くはカバーできると思っている。海外向けでデータ改竄している事実は、現時点で見つかっていない」
(続く)
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