社長「(進退は)考える状況にない」「本件は会社の存続に関わる大きな事案」
三菱自不正・2回目会見詳報(5終)--つじつまを合わせることが発端であったように思うのだが、つじつまを合わせるために他のモデルや年式切り替えで実測する意味がなくなったということか
横幕開発本部長「おっしゃるとおりだと思う」
--つじつまを合わせるために机上計算に走ったと
中尾副社長「年式計算についてはそのような考えがあったと思っている」
--他の(2)の方もそうなのか。そもそも燃費訴求車のデータが嘘だったと
回答者不明「おおもとのデータを他の年式の検討の際のベースに使うことで内容が移動していったというか、他のそういうものが入り込んだということだ」
--「そういうもの」というのは
回答者不明「もともと本来よりは低いデータが次の年式でそこからスタートしてしまうと、それが事実かのようにするとそこから始まるように誤解される」
--5回目標上げられたと言ったが、それに合わせて5回の変更というものの変化、あと抵抗値の変更と、どの段階で下の方の数値のものを使ったのか
中尾副社長「目標値を5回変えたが、この中で3回目に変えたときにリッター28キロというふうに。28キロの時点ではそれを達成するためのいろんなものが盛り込まれる。それ以降、上がる分についてはそれを上げたいという提案があったときにそれを実現するためのエンジンとミッションの適合性という部分、タイヤの転がりの改善から上げていくと。それをベースに向上といった提案がなされていたと考えている」
--高速惰行での抵抗データを良く見せたのは28キロの実現段階という理解でよいか。それ以降か
中尾副社長「実際は良いデータを出す29.2を出すために、そこでそういった行為がとられたと思っている」
--最終的に2013年2月の29.2キロに引き上げた段階で数字を書き換えた
横幕開発本部長「一番いいデータをとったと聞いている」
--社長の進退についてうかがいたい。現行の経営体制のままで信頼回復できると考えか
相川社長「原因がわからないと答えが出ないと思う。まずは原因究明。再発防止が私の今のミッションではないか。そこから先は考える状況にない。しかし本件は会社の存続に関わる大きな事案と思っている」
--3カ月めどとあるが、3カ月は残ると
相川社長「残らないと責任果たしたことにならないと思うので、社長の責任は果たす(きっぱりと)」
--燃費訴求車とはどういう概念か
中尾副社長「一番燃費の良い類別であり、現在、一番良い燃費の類別から中間の類別といったようにそういう分け方の類別設計はしている。一番良い燃費の類別、これに競合できるような類別という考えで設計している」
--カタログを飾るためというような
中尾副社長「カタログを飾るという話ではなく、今の軽自動車の場合はこの一番燃費のいい類別はたくさん売れる状況ではある。ただ、どうしても燃費を上げるためにはいろんなコストもかかる。お客さまが自分に適した車を選ぶための判断のために類別を設けていると」
--そういう類別自体が今回のような温床の一つになっているのではないか
中尾副社長「それについては現段階ではコメントできない」
--さきほどの29.2という目標値を設定する直前に多分、ダイハツも29キロを達成していると思うが、そういうのは焦りとしてあったか
中尾副社長「やはり『ムーブ』の値をベースに、この数値を提案したと思っている」
--この会議、最終的な会議では開発側から29.2という提案があったということであり、中尾さんはじめ、経営陣から要求した数値ではないということか
中尾副社長「この提案が開発プロジェクト責任者から提案があった。そういった競争の社会の中でやっていくために、こういうふうに上げたいと。上からこうやれという格好ではないと認識している」
--ご自身が指示した認識はないと
中尾副社長「私は当時はそれを達成する責任があるので、そういったことは特に私の方から申し上げることではない」
--達成する責任があったと思うのは部下の方々に「ムーブ」に対抗して、上げろという指示はしていないと
中尾副社長「私の方からはしていない」
--開発側から難しいという声は
中尾副社長「これは非常に厳しいので変えてほしいという提案はなかった」
--期間的に延ばしたいということもなかったか
中尾副社長「かなり厳しい目標なので、そう簡単に達成できるものではないが、それをいずれ達成していきたいというのが開発側からの見解だった。ギブアップレベルではないとの声はあった」
--開発と性能検査部門の力関係は
中尾副社長「プロダクトエグゼクティブはそのプロジェクトの最高責任者だから、その人の意向をサポートするのが開発などの仕事。上下関係からいくとプロダクトエグゼクティブは達成させたいと思うのが必要だ」
--開発側としてはエビデンスがないなかで、実験部で数字をいじって達成ということだが、開発陣営はおかしいと思わないものか
中尾副社長「今回の件は29.0まではめどがついた。29.2に関しては走行抵抗を改善できれば達成できるめどがあると。走行抵抗を確認するということだった。走行抵抗を最終的に測定した結果で達成できたと、走行抵抗を確認しますという報告がなされている。その過程で一番いいデータをとってしまったということ。29.2というところのプレッシャーを感じてしまったんだろうと思う」
--先日、平均7%乖離という話だと29.2と29.0の違いはそこまでないように思うが
中尾副社長「走行抵抗の差によって、これは日産自動車の試験結果と理解しているが、それからいくと燃費に7%の差が出てましたということだ。それはそのときの日産自動車が測定した車の条件などによっても変わるから一概に言えないが、当時、日産自動車が測定した試験結果では、これだけ出ていたというのがそのときの内容」
--29はできたというのが、これは確実か。それとも、これもできていなかったと考えていたか
中尾副社長「今の結果ではできていなかったというふうにとらえている。本来データの中央値をとるべきところをデータの低い値をとっているということで、本当に中央値をとったときは29.0も『ああよかった』ということにはならないだろうと」
--29.0の報告自体が違うものだったと
中尾副社長「そうだ。実測の違うデータをベースに、達成できたということで」
--社内で上に対してノーといえない雰囲気があったという声があったということだが
中尾副社長「これはいろんなケースがある。場合によっては目標下げたいということも過去にはあった。一概に、上に対してものが言えないわけではない」
--29.0まではいけるというのは、さきほど手元に数字がないということだったが、28からいったん29になってそこから29.2に目標がいったということか
中尾副社長「そうだ」
--その時期と合わせて改めて調べて提示してほしい
中尾副社長「詳細を調べる」
≪この後、国土交通省のレクを予定しています。ここで聞いておきたいことはありますか、と司会≫
--新車の開発が止まっていないとのことだが、新車のNMKVの3車種目の開発は今も進んでいるか
中尾副社長「何も決まっていない」
--部品メーカーへの説明が変わったが、補償やおわびは
相川社長「部品メーカーさまには大変ご迷惑おかけしている。個別に訪問し、どういうことで困っているかヒアリングする。その結果を踏まえて個別に対応させてもらえれば」
--ユーザーへの補償は燃費との差のガソリン代みたいなもののほかは、何か考えているか。例えば、中古価格が下がることもあると思うが、いくつか今考えられるものでどういったものがあるか
相川社長「まだ検討段階だ。燃費の補償と中古車の価格の事案は考えている」
--最高経営責任者(CEO)の益子(修会長)さんはなぜこの場に姿がないのか
相川社長「本件は執行サイドの問題なので」
--今後益子会長出てくることは
相川社長「今後の進展次第だ」
--当時の部長に不正の認識は
横幕開発本部長「知らなかったということ」
--なぜ知っていると一度言っていると説明したのか
横幕開発本部長「質問に対し、その際の説明としてはそういうことを言っている方はいませんかということ。部長にヒアリングをし、聞いたことがあると。部長がその責任において言っているのかもしれないということで説明をした。確定をしたということではなくて、そういうことを言っていることがいるけれども立場で言っているかもしれないので調べると」
--一度認めたのは事実なのか
横幕開発本部長「そうだ。しかし、こうした大きな事案であるし、非常に憔悴(しょうすい)していたこともあって、そうしたことにつながったのかと思う」
--製造部長は、2回目のヒアリングでどんな発言をしたのか
横幕開発本部長「そこまで答えられるだけの材料を持っていないので、控えたい」
--「憔悴しきっていた」とのことだが、再び「実は…」ということはないか
横幕開発本部長「内部調査に加えて、特別調査委が解明していくことになる」
--最終的に目標値をクリアしたのは、惰行法の選択だけでクリアしたのか、他に不正操作はなかったのか
中尾副社長「最終的に目標を達成する際に、走行抵抗の値の一番良い方の数字から選んだ、ということだ。その他のエビデンスについて、燃費を上げるための技術的な内容と効果は確認しており、変な数値ではないととらえている」
--水島工場以外への影響、減産などはありうるか
相川社長「現時点では申し上げられない」
--【幹事社から】そろそろ時間だが、次回の報告はいつごろになるのか
相川社長「国交省から改めて報告するよう求められているので、その時点で再度…」
--【幹事社から】この会見で、開示の要望がいくつか出ている。次回の会見では応じてほしい
≪相川社長、何度もうなずく≫
≪最後に3人立ち上がり、そろって一礼して退場≫
関連記事