最もいい燃費の仕様車以外は「実測していない」
三菱自不正・2回目会見詳報(4)--海外からの調査については
中尾副社長「現時点では明確になっているわけではない。米国向けについては高速惰行法で、法規に沿った手法を採用しているため、監督官庁にはエビデンスをつけて報告をしたいと思っている」
相川社長「必要なデータをとりながら、説明にあがる予定」
--欧州など、国の法規に合わせて行っていたのか
中尾副社長「欧州は惰行法だが、日本国内と異なっており、データが正しく届け出されていることを確認している。現在確認を取っている最中で、すべて出そろった時点で報告させていただく」
--データの改竄については
中尾副社長「現在はその事実はない」
--なぜ車種の名前を開示しないのか
中尾副社長「今車種の名前をすべて集めている最中であり、試験法のやり方が、われわれがいいとか悪いとか判断できないので、政府のデータとどれだけ違うのかということを国交省に提示する必要があると思っている」
--確認できた範囲で開示すべきではないのか
相川社長「1回だけ計ればいいということではなくて、われわれとしては測り方が違ったこと自体が法令違反だとは思っています。どれほどの乖離(かいり)があるのかということを把握しなければならないと思っている」
≪ここから、開示すべきという報道陣と、国交省に提示してからという三菱自との意見の食い違いで、ややヒートアップ≫
--法令違反の事実があるのだから、車種を教えてほしい
中尾副社長「最終的に全貌が分かった段階で…」
--(回答を遮って)把握している範囲で教えてほしい
中尾副社長「それについては別途報告させていただく」
相川社長「今は数値が全部出ていないので言えない。国交省にも提出していない」
--ユーザーの方は心配していると思うが、それを放置するということでいいのか。ユーザーへの心遣いはないのか
中尾副社長「われわれのデータを国交省に提示して、お客さまに言っていきたい」
--国交省は関係ないのではないか
中尾副社長「ユーザーの方に安心してくださいというためには、われわれが勝手に行った試験だけでは言えない」
相川社長「全貌を示さないと説明が難しいと思っている。安心してくださいという根拠も、燃費が大幅に違っているかについても何も説明できずに開示するのは難しい。現状を把握した上で報告する」
--販売は続けているのか
中尾副社長「販売は続けている」
--燃費が大して変わらなければ、ユーザーにとって大した問題ではないと思っているのか
中尾副社長「たいした問題ではないとは思っていない。燃費を出す計測法が違っていたことに対するペナルティーはわれわれが判断できない」
--誤った方法で行った車種について教えてもらえないのか
三菱側「(沈黙)」
--惰行法で測った車種について教えてもらえないか
中尾副社長「前回(記者会見で)申し上げた内容で、すべてのリポートに目を通せていないが、現段階では前回(記者会見時に)申し上げた通り」
--2007年からマニュアルが改訂された指示系統があったのか
中尾副社長「マニュアルについては、性能実験部で作成して、社内で意見をもらって、最終的に意見を反映した形で、部長認可で発行する。指示系統というものは見つかっていない。現時点では指示書は見つかっていない」
≪報道陣も一呼吸≫
--15年前から高速惰行法は違法だったという認識はあったのか
中尾副社長「当時の状況についてリポートが見つからないのでわからないが、明確にしていきたいと思っている」
--高速惰行法のほうが少なめに出るが、2.3%にとどまったということか
中尾副社長「このデータは高速惰行法のほうが多めに出ているというケース。燃費に有利だから高速惰行法を使用しているといった結果にはなっていない」
--何車種なのか
中尾副社長「これは1車種のリポートしか発見できていない」
--抵抗走行が逆転するケースもでてくるのか
中尾副社長「風速にもよるので、必ずしもどちらが有利とはいえない」
--なぜ厳しい値を出しているのか
中尾副社長「試験をやっていたということをいうためのもの」
--比較試験は、性能実験部のみがこのデータを扱えるのか。開発部も分かる試験なのか
中尾副社長「性能実験部が行った試験で、性能実験部内のみのデータである」
--他の部署はその試験内容を知っていたのか
中尾副社長「ほとんど知らなかったと思う。設計部門も知らなかったと思う」
--逆算する計算法について、惰行法を使っていたのか、高速惰行法を使っていたのか
中尾副社長「高速惰行法のデータで惰行法に換算した値を入れていた」
相川社長「高速惰行法で出した走行抵抗値を使って、それになるように惰行法で数字がどうなるのか逆算して使っていた。最後の総合抵抗値自体は同じ数値が出ている」
--燃費目標値を達成するというよりは、時間短縮を行うためにやっていた可能性があるということか
中尾副社長「その可能性はあると思う」
≪隣で相川社長がうんうんとうなずく≫
--どういう都合で計算されるのか
中尾副社長「走行抵抗を入れて、惰行法というのは、たとえば60キロメートルの走行抵抗を出すときには65キロメートルから55キロメートルまでニュートラルで時間を測る。走行抵抗の値が分かっておれば、ランダムにやって、それを下降時間を下げていく」
--この計算式を使っても上がる場合もあれば下がる場合ものあるのか
中尾副社長「それは惰行時間を出しているだけで、惰行時間を使って惰行法での値を出すから、そのときには誤差は小さくなってくると思う」
--惰行法で出し直したものを国交省へ提出しているのか
中尾副社長「その通りだ」
--実測したのは燃費訴求車だけで、それ以外は全部実測計算していないと読み取れるが、実測していないのか
中尾副社長「そういうことだ」
--実測データそのものがないのか
中尾副社長「燃費訴求車の実測データはある。それ以外の車は、机上計算で出している」
--燃費訴求車だけを測るというのは、4車種以外の他のラインアップでもやっているのではないのか
中尾副社長「そういうことはやっていない。全車種調査できていないが、現在そういった結果は出ていない」
--性能実験部が不正を行う動機と関与は
中尾副社長「明確な事実がなく、なぜやったのかという事実確認ができていない。前回記者会見でも時間短縮が目的だったのではないかと言ったが、それ以外の要因は把握できていない。他部署が知っていたのではないかということに関して、今の調査においては見つかっていない」
--スケジュールがタイトだったのか
中尾副社長「いろいろな車種を実験しているので、スケジュール的には厳しかったのだろうと思っている」
--実測データがないということはかなり大きな問題だと思うが、幹部陣は把握していなかったのか
中尾副社長「申し訳ないが、把握できていなかった」
--実測したデータについては、実測したけどだめだったから保管していないのか、燃費訴求車以外は実測を全くしていないのか
中尾副社長「途中で測っているものはあるが、最終的な走行抵抗を出す際に、二駆から四駆に上がった際にどれだけ抵抗が上がるものか、面積が上がった際の知見を持っている。その知見に基づいて走行抵抗を設計している。本来的にやるべきところを、今回は実測していない」
--実測していないことについての認識はあったのか
相川社長「当時これが経営サイドに認識していたかどうかというと、おそらく認識していないと思う。ここまでの実務的なことまでは通常、報告されない」
--実測していないことについてはどのように考えているのか
相川社長「とんでもないことだと思っている」
--そもそも2013年2月『デイズ』でデータを不正処理したことが発端にみえるが、そこで不正したので、つじつまを合わせるために他のモデルや年式切り替えをするときに実測をする意味が無くなってしまったということか
中尾副社長「そういう考えがあったと思う」
(続く)
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