社長「開発者でしたが高速惰行法は承知してませんでした」
三菱自不正・2回目会見詳報(2)--社員の皆さんにプレッシャーがかかった認識は
相川社長「結果から見れば、プレッシャーがかかったと思う」
--顧客の皆さんに対しては
相川社長「おわびするしかない」
≪2回ほど頭を下げる≫
--試乗計算はどのように。コストで割り出しているのか
中尾副社長「過去の商品の経験則で試乗計算している。ソフトウエアではない」
--惰行法でやらなければならないと認識しながら1992年から高速惰行法を御社だけ使っていた。そのために逆算して惰行法の値に近い数字を出していた
相川社長「そういうことだ」
--対象車種はどのくらいか
中尾副社長「明確ではない」
相川社長「誤っているという認識でそのまま使っていたかどうかがわからない。数字を疑わずにやっていた可能性もある。法規を満たしていないという意識なく、これが社内での今までのやり方だと思っていた可能性もある。外部調査委員会で、これをはっきりさせていきたいと思っている。やり始めたのが20年以上前。われわれの中で結論が出ていないということだ」
--前回は担当部長の方が自身で指示したと認めることだったと思うが、関与の人数、部署の関わり方のイメージを社長はどうみているか
≪報道陣から「聞こえない」との声≫
横幕康次開発本部長「前回の会見で、担当部長が自分が指示したと言ったが、われわれがヒアリングして調査した。しかし、そういう事実は確認できなかった。ただ、中尾から話した通り、社外の特別調査委員会で、本件について調査したいと社としては結論を出したい」
--(質問聞こえず)
横幕本部長「指示をした相手、記録は確認できなかったということだ。本人の面談では不用意にそう言ったと申していますが、それで終わりではなく、特別調査委員会で事実を確認したい」
--そう言ってるんじゃないか
横幕本部長「記者会見の場では伏せさせてほしい」
--高速惰行法の使用の件だが、相川社長はeKワゴンの開発者でもあったわけで、ここ20年の流れを見てきていると思う。ほとんどの車種でこれが使われてきたということに気付かなかったのか
相川社長「開発実務の仕事でして、担当部署以外は通常関与しない。したがって、どうしてこういうことがやられたか、まったく承知していない」
--社長は20年以上、高速惰行法が社内にあることをまったく知らなかったのか
相川社長「申し訳ないが、私はまったく承知していない。かならずしもそれを知らないと車のとりまとめができないかといえばそうでもない。しかし、自浄作用がなかったことが問題だと思う」
--2001年1月の惰行法と高速惰行法の比較試験の実施はどういう経緯で実施を。差があると認識していないとわざわざやる必要がないのでは
中尾副社長「おそらくこの時点では国内の試験法と違う試験でやっていたということを認識したんだと思う。それを認識して、じゃあ両者の差がどれぐらいあるのか認識したんだろうというふうに思う。ただ、これはわれわれの推定であり、どういう経緯からこれをやったのか徹底的に調査していきたい」
--高速惰行法のほうが抵抗値として大きいということか。燃費への影響は高速惰行法と、もう片方のテストのやり方をやると、どのような差が出るのか。最終的には燃費の値を不正なテストを使った方の実験は、全て計算し直さないといけないのか
中尾副社長「今、抵抗値の差というのを燃費による影響というのは、それぞれの車の不足の値をもってみている。これは一概に何%というふうに言えるものではない。いろんな条件が入ってくると思うが、これによって燃費に対する影響はどのくらいなのかというのは全車種を対象に把握したいと思っている」
--先日来、意図性があったと認めているわけだ。意図性というのは故意であってミスではない。しかし、今日は部長も指示したかわからないということだが、一体誰が不正について意図を認めたのか。その発言がなければ、会社は意図性の説明できないだろう
中尾副社長「それはわれわれが実際のデータを見て」
--データの違いだけだったらミスかもしれない。ミスではなく意図だと言っているのだから故意があるはずだ
中尾副社長「データ的にはいろんなデータがあり、中央値に近いところからデータを見る。今回の件はデータを見たときに一番良い値のところを採っているというところが判明したので、これは意図的にとっていると判断した」
--91年に法律が変わったのに、なぜ高速惰行法を使い続けたのか
中尾副社長「今後の調査になる。前回の会見で計測の時間がかかるというのが考えられる話はしたが、この辺はもう少し調べて解答したい」
--経営としてみたときに経営危機になり得ると考えか
相川社長「今の段階で私が説明できる状況にない」
--初めて高速惰行法で国交省にデータを提出したのは91年か92年か
中尾副社長「資料を見てみないとわからないので、この場では解答を控えさせていただく。コメントは控えさせていただく」
--買い取りなどの対応は
相川社長「今はお客さまへの対応がまだ決まっていない。どれだけ燃費がいったか、全体の数字が出せていないので出せないとお客さまへ補償内容が決められない。お問い合わせあったお客さまには説明している」
--燃費訴求車の開発で目標は繰り返し上方修正されたとあるが、具体的に引き上げた段階と時期、あと具体的な数値は。2011年2月に最初26.4キロパーリッターとなっているが、例えば、その2年間の間でいつどこで引き上げられていったのか
横幕開発本部長「詳細はわからない。5段階上げていったと。5回ですね。26.4にはじまり、29.2の間に5回改訂があった」
--短い間に5回引き上げるのは自動車業界で一般的にあることなのか
≪誰が答えるかと3人で互いに目配せ≫
中尾副社長「自動車業界で一般的にあるかどうかという点に関してはコメントを差し控えさせていただきたい。他社についてはわからないので。ただ、今回の変更は弊社の中でも例がないレベルだったという認識だ。車を実際につくりにいく前の段階で2回あり、これから車を作りに行きますという段階ではリッター28キロだったのだが、この後2回変更が出ているというのが事実だ」
--5回は異例ということだったが、他社がどんどん上げていくうちに無理して引き上げていったのか
中尾副社長「技術的エビデンスがなければ、燃費目標を上げられない。最近はいろんなデバイスとかを使いながら上げていくわけだ。過去はそういった指揮がとれなかった時代もあったので、それがどれだけ無理であったか明確に言える条件にない」
--そのときの会議に出席されていた方は3人の中でいるか
中尾副社長「私が出席していた」
--中尾さんはエビデンスが出されてそれで会議で引き上げ可能と思ったのか。それとも無理な目標と思ったのか
中尾副社長「私はエビデンスを出す部門に属していたので、そういった観点からできると思っていた」
--できるという確信を持って提案したと
中尾副社長「はい。私が提案したわけではないが、私の担当ブースが検討してこれはできると報告は受けていた」
--会議でエビデンスが事実にともなわないということは気付かないものか
中尾副社長「その点に関しては過去のいろんな試験データとかそういったものからシミュレーションで出していくので、この時点でこれがあやしいとかそういう部分は気付かないというのが、いろんな部分で。エンジンだとか車体の空気抵抗の話などそれぞれをしっかり行うことで何%改善できると。それから技術的な検証があったので、この時点ではこれは達成できると考えていた」
--そのプレゼン自体が虚偽だった可能性は
中尾副社長「それはわかってないが、今まで他の車でも比率というかレベルといったものは出ていて、それでできていたから、虚偽というふうには思っていない」
--社内会議とは
中尾副社長「車を売るコンセプトの会議全てを決める」
(続く)
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