主力RVRでも偽装疑い 好調海外にも波及、厳しい立て直し 

三菱自不正
三菱自動車のSUV「RVR」の現行モデル(提供写真)

 三菱自動車の燃費データ不正問題が軽自動車4車種以外にも広がったことで、業績への影響が拡大しそうだ。主力のスポーツ用多目的車(SUV)「RVR」などに不正の疑いが浮上し、利益を稼ぐ海外市場にも影響が広がる恐れがある。相川哲郎社長ら経営陣は業績立て直しを目指すが、道筋は険しい。

 益子修会長は11日の記者会見で、「すぐに経営安定の道筋がつくとは思わない。思い切った改革をやる必要がある」と述べた。

 三菱自は10日から販売店に対し、軽4車種の利用者に補償を通知する文書を発送。エコカー減税の返還やガソリン代の差額を負担する内容だが、具体的な金額は明記していない。

 今回の報告は、補償の前提になる実際の燃費値は示さなかった。三菱自は今後、認証を求めて燃費値を再申請する方針だが、「不正をした会社のデータは信用されない」(関係者)。国土交通省の独自試験の結果を待つ必要があり、軽供給先の日産自動車が販売機会を失う損失などが増えて補償額は膨らむ見込みだ。

 また、軽以外に不正の疑いが及ぶことで、販売の落ち込みがより深刻になる恐れがある。三菱自の4月の新車販売は、軽が不正による販売停止で前年同月比44・9%減少する一方、RVRなど普通車は37・9%増えて好調を維持した。相川社長は軽以外の車種について、「生産・販売停止にあたらない」と語ったが、イメージ悪化などで販売が鈍化する可能性がある。

 益子会長はこの日の会見で、「海外向けの車種は各国の規制にのっとったものだと確認した。踏みとどまれるようにがんばりたい」と語った。平成27年度は海外事業が売上高の約8割を占め、営業利益の大半を稼ぎ出す。海外市場にイメージの悪化が広がれば経営に大きな打撃になる。

 益子会長は、「改革を受け止められるか見極めて進退も考える」と当面の辞任を否定した。だが、不正に加えて業績悪化が進めば、経営責任が問われるのは必至だ。

 三菱自は軽以外の車種についても再報告で一定のめどをつけたい考え。三菱グループへの金融支援要請について、益子会長は「27年度まで順調にやってきたので、自分たちの力で乗り切れる」と否定したが、不正問題の拡大で再建への道筋はさらに遠のいた。