(上)日産ゴーン社長「ダイナミックなパートナーシップ」

日産・三菱自の会見詳報
会見場に入る日産自動車のゴーン社長(左)と三菱自動車の益子修会長=12日、横浜市(大西正純撮影)

 日産自動車と三菱自動車は12日、日産自動車傘下で三菱自の再建を目指す資本業務提携を発表した。三菱自は、日産を引受先として第三者割当増資を10月に実施し、議決権ベースで34%の出資を受け入れる。日産による出資総額は2373億円に上る。

 《日産のカルロス・ゴーン社長が先に、そのすぐ後ろに三菱自の益子修会長がつく形で、両社長が会見場の席まで歩く。自信に満ちあふれる日産のゴーン社長に対し、やや疲れた表情にもみえる三菱自の益子会長。ゴーン社長の説明から始まった》

 ゴーン社長「本日、日産と三菱自は広範囲におよぶ戦略的アライアンス(提携)で合意した。両社にとってウィンウィンの関係になる。大きなシナジー効果と成長が生める。取引条件に従い、日産は2370億円を投じ、三菱自に34%出資する。当局の承認を経て成立したら筆頭株主になり、既存のパートナーシップ、新たな領域へ向かう。何十億ドルに及ぶ提携効果を購買、プラットフォーム(車台)の共用、新技術、成長市場の協業で生み出す」

 「ダイナミックなパートナーシップであり、それぞれの会社の潜在力伸ばす。当社は三菱ブランドを守り尊重し育てる。課題解決を支援し、とくに燃費問題で失った客の信頼回復に力を入れる。三菱自が新たな一員となる。日産のアライアンスは今や世界最大かつ最もグローバルで多様性を持つ自動車グループだ。両社で新興国市場の道を開くほか、電機自動車も協業していきたい。経営の知見と企業統治の経験を提供し成長実現につなげていく。新たな旅が始まろうとしている。三菱自は信頼を回復し新たなビジネスチャンをつかむと信じている。本件は潜在的に双方にとってウィンウィンの内容だ」

 《益子修会長が緊張しながら話す》

 金子会長「本日、この場にいることを大変光栄に感じている。数週間、燃費不正(燃費データ不正問題)で心配迷惑かけ、おわび申し上げる。昨日の会見で使命として経営を安定につなげる道筋つけたいと申した。思い切ったことやらないといけないと。まさに提携は私どもにとって信頼回復、経営安定の重要な道筋だ。提携は客、取引先、株主、社員すべてのステークホルダーに喜んでもらえると思う」

 「三菱自が新しい一歩を踏み出すにあたり、日産との関係のさらなる進化で競争力みがく。既存ビジネスについても継続していく。日産との資本業務提携を通じて開発技術部門の人的、技術的部門支援、風土意識改革の促進が図れると期待している。協業はさらに領域が広がる。新車開発、次世代技術開発、EVや自動運転でも提携を深める」

 「共同購入プログラムによるコスト低減も対象だ。日産も三菱自の強みのEV、ピックアップトラック、東南アジア諸国連合(ASEAN)市場の協業で多くのチャンスをつかめる。日産と(提携先の)ルノーはお互いのブランドを尊重し、成功しており、そのアライアンス成功の経験は心強い。信頼を取り戻すのは容易ではないが、アライアンスを通じて困難な目標に向かって歩き出す」