燃費の誤差は「5%の範囲内、問題ないです」と副社長が強調
スズキ不適切試験会見・詳報(3)《国土交通省5階の大会見室に詰めかけた約200人の報道陣から、次々と質問が出る》
--不正な試験を行っていたのは、御社で生産・販売している全車種ということか
鈴木俊宏社長 「はい」
--不正の動機は、燃費のカタログデータを良くしたいということではないのか。それとも、作業の簡略化ということか
本田治副社長 「結論から申しますと、『燃費をあえて良くしようという意図』が働いている形跡はなかった。不安定な作業の中で『効率を上げて、的確なデータを得ていきたい』というのが動機だったと、今のところ判断しています。従って燃費をどうこう、上げよう、という意図は今のところ『なかった』と私共は判断しています。会長、社長がご説明申し上げた通り、『燃費は疑念がない』と国交省に報告させていただいた次第です」
「数字がすべてを物語ると考えております。16車種の走行抵抗値について、認証を受けた際の申請値と、『惰行法』を用いてとりためてきたデータ、最近になって改めて測定した走行抵抗値との検証を行った。その検証結果から、走行抵抗値はいずれも同等の範囲内にあったと考え、『燃費を操作する意図はなかった』とご報告しました」
--国交省からは、今日の報告に対して追加指示などはあったか
鈴木修会長 「報告書を提出しましたので。まだお渡ししたという段階でございます」
--誤差は何%あったのか?
本田副社長 「『惰行法』で測定した際の誤差の範囲は『10%』といわれております。(スズキが行った試験の測定値は)十分、その範囲に入っていると私共は考えておりますが、最終的には、報告差し上げたことを国交省さまが判断すると考えており、私共は十分、範囲内と考えておりますが、最終的には国交省さまが判断すると考えております」
--測定値は大きく乖離していないとして、燃費値についてはどうか
「いま生産している車と、社内にある車で検証していますが…。あまり数値を言うと…。国交省さまの判断の前に言うことになるが、(誤差は)5%までいっていません。その範囲内に入っています」
--走行抵抗値は、実測値よりも高い方ににずれているのか、低い方にずれているのか
「両方にずれています」
--違法な測定の判断は、どのレベルの人が関与したのか
「国交省さまが判断することで、今、軽々に言うとまずいので、ご容赦いただければ」
--調べて分かっているけれど、この場では言えないということか
「『これだけははっきりしている』という点について言えば、私共は走行抵抗の目標値を、カーラインが設定します。各設計部門がそれに向かって取り組む。測定は、認証を扱っている部門が行い、その結果を持ち寄って検証します。この後どう進めるかということを、関係者が集まって話し合う。最終的に目標設定したのはカーライン、チーフエンジニアですので、カーラインが『こういう目標値でいこう』ということを決めます」
--鈴木会長にお答えいただきたい。海外販売車種にも、こうした測定方法を用いたケースはあるのか。また、顧客へ何らかの補償を考えているか。現場が不正行為に手を染めた背景と、起こしてしまったことについてどう考えているか
鈴木会長 「まず反省することはですね、あのー、試走行の中で、無風の、温度も20度と決まっているようですが、そういう装置を現場では苦労してやっていたと。ばらつきが大きいからということで、つい、装置ごとの実測値に走ってしまったということで。先ほど申し上げたように、今ただちに防風壁を作りますとか言っているんではなく、そういう設備投資が至らなかったという点は反省をいたしております。しかし、今度の状況で分かりましたので、風通しを良くしなければいけないと思っております」
「それから、海外の問題につきましては、それぞれ国の、たとえばインドなどは現地の法律にしたがって『立ち会い試験』ということがありますので問題はないと、こういう風に思っております。ヨーロッパについても、そういうルールに従ってやっておりますので、海外の問題は一切ありません。そういう点は、はっきりさせていただきたいと思っております」
--今回の事態が起きた要因として『低燃費技術の向上』や『車体の軽量化』などを挙げている。では『現行の測定法が時代にそぐわない』という指摘は、現場から出ていないのか
「そういう声は出ておりません。ただ、安易な手段に走ったということを、現場は反省をいたしております。本田(副社長)が(不正の開始時期は)『2010年頃』ということを申し上げたのは、風洞実験とか、タイヤのやつとか、トランスミッションの設備が全部揃った時点が2010年であるから、そこから始めたのではないかという推定をいたしております。そういう点でもですね、反省としては、早く設備を改良してあげたらよかったな、という風に反省をいたしております。そういう点で、風通しのいい組織にしないといけないということをつくづく思っております」
--違法性は認識されていないとのことだが、役員の処分などはどうするのか
「まあそれは、よく調べた上でやりたいと思っております。やるとしても、まず調査が先ですから。調査が先だということで申し上げると、この『惰行法』を、国のルールに従ってやる、正常化するということがまず第一でございます。その次のことは、それを実行するということですから、過去の問題は後になるかと思っております」
--認証部門は国の法令を熟知しているはずだが、それでも「違法性の認識はなかった」と言い切れるのか
本田副社長 「今まで調べた範囲では、『惰行法』(による測定)を止めてまでやっていたわけではない訳です。数は申し上げませんが『惰行法』による測定を膨大な回数行い、それと照らし合わせてやっておりますので。現場においては、先ほど会長が言いましたように『惰行法』の測定が非常に難しいという状況の中での行動だったと、今は考えております」
「『惰行法による試験が難しいのでは』というご質問ですが、各メーカーさんはそれをやられているわけですから、私共がたとえば、場合によっては『惰行法』についてまだ未熟なところがあるとか、あるいはコースの環境がですね、『惰行法』のルールをみてみますと、この方法は風の影響を非常に受けます。風に関して断続する壁状のものがないこと、という条件もある。相良のテストコースの横には様々な実験棟が建っていて、この実験棟が一つの壁とみると、この建物がテストコースに対して平行だったり直角だったりして、自分たち自身の環境が測定条件を乱しているかもしれないということを鑑みると、今直ちにわれわれが『惰行法という測定方法は難しいのではないか』ということを主張する前に、まずは各社さんがやられていることをもう1回見なければならないのではないか、という風に考えています」
--5月10日の決算会見の時点では、不正検査について鈴木会長まで届いていなかったということだが、ではいつの時点で発覚したのか
「おおよそでいうと、ゴールデンウイーク(GW)明けあたりです。われわれの実際の作業を申し上げると、5月の連休をほとんど使ってデータの検証などもして、それからトップに報告しようと。会社としては中途半端な報告をできない。16車種というたくさんの車種が関係していますので、一部についてやるのは、会社のトップに対して正確な情報を上げないことになりますので」
--現場の担当者はどう説明しているのか。本当に「違法性がないと思っていた」と言っているのか。また「惰行法」のデータなどをどのくらい検証しているのか
「違法性うんぬんということに関しては、皆さんのご理解をいただけることを前提に、こういう回答をさせていただきます。各現場で測定がばらつく中で、一生懸命やってる連中に『君は何か違反やってたんじゃないか』といきなり尋ねると、調べるのが困難になる。問い詰めるという形の調査は控えながら、事実をちゃんと調べようとしているところです」
(続く)
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