電力大手、海外需要の獲得加速 国内頭打ち…アジア中心に発電事業拡大

 
九州電力が建設中のインドネシアの地熱発電所(同社提供)

 東京電力ホールディングス(HD)など大手電力と電源開発(Jパワー)が、電力需要が旺盛なアジアを中心に海外発電事業を拡大している。人口減や節電意識の定着で需要が頭打ちの国内は、4月に始まった電力小売りの全面自由化で事業環境が一段と厳しさを増している。収益源の確保に向け、国内で培った世界最高水準とされる設計ノウハウや運転技術を生かして電力各社が海外事業を強化する動きは加速しそうだ。

 Jパワーは近く、インドネシアで大型石炭火力発電所の建設工事に本格的に着手する。同社が34%出資するジャワ島中部バタンの火力発電所で、原子力発電所2基分に相当する200万キロワットの発電所を建設する。住民の反対などで土地収用が進まず着工が3年半遅れていたが、3月までに土地収用が完了し資金調達にもメドがついたため、2020年の運転開始を目指して本格工事に入る。この発電所が稼働すると、Jパワーの出資比率に応じた海外の発電設備の持ち分出力は約820万キロワットに高まる。Jパワーの本業は国内電力会社に電気を売る卸電力事業。しかし国内需要は今後大きな伸びが期待できないため、活路を求めて海外事業を他社に先駆けて強化しており、持ち分出力は国内電力会社で最も多い。25年度の1000万キロワットを目標にしている。

 持ち分出力がJパワーに次いで多く、約330万キロワットで並ぶ東電HD、中部電力は7月、火力発電事業の統合に向けて共同出資で設立したJERA(ジェラ)に海外発電事業を統合する。受注に欠かせない人脈が広がるなどの統合メリットをフル活用し、アジア以外の中東、北米も積極的に開拓していく。持ち分出力を30年度に2000万キロワットにする計画だ。

 関西電力は今春、25年度に現在の約10倍の最大1200万キロワットに引き上げる目標を掲げた。海外事業には5000億円を投じる計画で、まず強化策第1弾として6月中にタイとインドネシアに拠点を開設する。両国を足場にアジアで優良案件の獲得に乗り出す。北米、欧州への進出なども検討する。インドネシアで出力32万キロワット(持ち分出力8万キロワット)と世界最大級の地熱発電所建設を進める九州電力も、持ち分出力を現在の150万キロワットから30年に500万キロワットに引き上げる計画を打ち出す。

 海外発電事業の収益率は高い。東電HDは15年度の海外売上高1018億円に対する営業利益の割合は約35%で、全体の6%を大きく上回った。国際エネルギー機関(IEA)の予測によると、経済協力開発機構(OECD)加盟国を除くアジアの電力需要は30年に13年比で約2倍になるなど拡大が続くとみられている。各社はアジアで稼ぐ態勢を一層強化する。