
中国全人代で政府活動報告に向かう李克強首相。左は習近平国家主席=3月5日、北京の人民大会堂(共同)【拡大】
景気低迷が加速する中国で最高指導部内の権力争いが激化しているもようだ。政府高官や「権威筋」とされる幹部が、このところ互いに経済政策の失政を批判したり、牽制(けんせい)したりする発言が相次いでおり、混乱に拍車がかかっている。発言を分析する日本の専門家は、景気低迷が誘発した最高指導部内の権力争いが「相当のレベルまで激化している」と注目している。
権力争いの兆しか
シンクタンク「日本総合研究所」理事、呉軍華氏によると、5月9日、共産党中央の機関紙・人民日報の一面に「第1四半期が終わって経済の流れを聞く:権威筋が中国経済を語る」と題する特別インタビュー記事が掲載され、国内外の大きな関心を集めた。
インタビューでは、中国の「権威筋」の発言として「今後の中国経済がV字型の回復はもとよりU字型に回復する可能性もなく、L字型の流れをたどる」と断言したというのだ。
呉氏は「話の内容や語り方などを分析する限り、権威筋は習近平国家主席の側近、ないしは習国家主席本人である可能性が高いとみられている」と指摘。景気低迷などを背景に、「指導部内の権力争いが激化している兆しをみせている」とする。