冒頭に高橋社長ら全役員が陳謝「厳しい業績、4年間無配当となり誠に申し訳ない」 

株主総会詳報・シャープ(1)
シャープの高橋興三社長

 経営再建中のシャープの定時株主総会が23日、大阪市内で始まった。台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業から合計3888億円の出資を受け入れる特別決議を行う。平成28年3月期連結決算で2期連続の赤字に陥り、鴻海に経営再建を委ねて退任する高橋興三社長は冒頭、役員全員を起立させ「厳しい業績、4年間無配当となったことは誠に申し訳なく、おわび申し上げます。鴻海精密工業などの出資を受け、再生を図ります。ご支援よろしくお願いします」と陳謝した。

 総会では6議案が上程され、鴻海からの出資を受け入れるための新株発行の議案や、出資完了後に社長に就く鴻海の戴正呉副総裁ら取締役10人の選任議案などを決議する。

 現経営陣がほぼ退陣する節目の総会とあって株主の関心も高く、午前8時半の開場前には行列ができた。10年前からシャープ株を保有した川西市の無職の男性(62)「高橋さんはリストラが全く不十分。1万人規模の削減をやるべきだった。従業員には甘く、株主を見ていない、いかにも『日本の経営』だ。毎年何千億も赤字出すなんて、大阪の商売人のやることではない」と厳しい口調で話した。

 40年来シャープ株をもつという西宮市の無職男性(70)は「鴻海は受託製造販売のEMS企業だが、シャープのブランド価値を理解していない。4月の買収契約から、約束が二転三転している。これでは、従業員のモチベーションも下がり、シャープブランドを消費者が信頼できなくなる」と疑問を呈した。

 一方、海外事業も手がけたシャープOBの男性(80)は「現経営陣はもっと結論を早く出すべきだった。グローバル化が進む中で、鴻海が買収してくれたことはありがたい。シャープブランドを選んでいただいたと思っている」と話した。

 同日午後には、金融機関向けの種類株主総会を開き、新株発行のための定款変更議案を諮る。