「ピカチュウの巣」無言でスマホの異様光景 来園者がいなかった公園に異変

 
夜が明けてもゲームをする人でにぎわう扇町公園。一帯はセミの声だけが響いていた=29日午前9時半、大阪市北区

 世界的な人気を集めるスマートフォン向けゲーム「ポケモンGO(ゴー)」の国内配信開始から7月29日で1週間を迎えた。珍しいキャラクターが入手しやすいとされる市街地の公園には連日、早朝から深夜までスマホ片手のユーザーが引きも切らずに押し寄せ、現実世界の光景を様変わりさせた。その一方で来園者による路上駐車やごみ問題も発生。ポケモンをめぐる騒動はまだ収まる気配がない。(井上浩平)

 「ピカチュウが出た!」

 28日深夜、大阪市北区の扇町公園。学生風の男性が興奮気味に声を上げた。薄暗い園内では、電池切れに備えて予備のバッテリーを取り付けたスマホの画面を、多数の若者が食い入るように見つめていた。

 同公園は出現率が低いポケモン・ピカチュウが入手しやすいスポットとされ、ファンの間では「ピカチュウの巣」と呼ばれる。ゲームの配信以来、昼夜を問わず祭りのようなにぎわいを見せている。

 最終電車の後も乗用車で足を運ぶ人が少なくない。公園の周囲では、滋賀や神戸ナンバーの車も路上駐車し、車内でゲームに興じる姿がみられた。

 このため巡回のパトカーも「駐車禁止です。すぐに移動してください」と呼び掛けていたが、車は増える一方だった。

 一夜明けた29日朝も、園内では相変わらず大勢の人が無言でスマホを凝視。人でいっぱいであるにもかかわらず、聞こえてくるのはセミの鳴き声だけだった。

 「異様な光景。1週間前まで人は全然いなかったのに。みんな下ばかり向いていて、いつか事故が起きるのではないか」。園内の見回りや清掃を行っている平石勝義さん(77)はため息をついた。

 植え込みや物陰には来場者が残したとみられるペットボトルやたばこの吸い殻が散乱。平石さんは「ごみの量が2倍以上に増えた。責任をもって処理してくれないと困る」と話す。

 老若男女、さまざまな年齢層を熱中させるのもポケモンGOのすごさだ。

 扇町公園に並んでファンの人気が高い大阪城公園(大阪市中央区)で楽しんでいた同区の会社員、石橋悟さん(62)は「24歳の息子に勧められて始めた。ポケモン自体に興味はないが、モンスターを探しながら外を歩くのは健康にもいい」と満足げだ。

 一方で大阪府守口市の会社員、中川誠さん(42)は「流行しているから試したが、単調なゲームだし飽きるのも早いかも」と指摘。公園の風景が元通りになる日もそう遠くないと予測した。