出光の月岡社長「1年以内に創業家説得」 昭和シェルの亀岡社長「白紙にはしない」
出光・昭和シェル経営統合延期 会見詳報(3)--年内予定の臨時株主総会は見送りか
月岡隆・出光興産社長「できれば年内に開きたいが、踏まなくてはいけない手続き、また最終合意における合併のありようを図るのは時間的に厳しいという判断だ。実際にできるか、ぎりぎりだが難しくなった」
亀岡剛・昭和シェル石油社長「(当社大株主の)ロイヤル・ダッチ・シェル(RDS)が出光に株を売るのは、経営統合に向けた売買というのが前提だ。ダウンストリーム(需要減)の中、RDS側も、日本の石油業界の再編にトリビュート(貢献)するような売買をする考えだ。その前提となる統合の時期がずれるので、RDSと協議をしていく必要がある」
「現状では、出光の大株主が当社株式の取得と経営統合を反対している。そうした中で我々が(出光による株式保有比率)33・3%の関係会社になるのは、当社の株主や販売店の不安につながり、強い会社を作る目的とは反対になるので、RDSも理解していただけるのではないか」
--統合時期が「未定」となったことで、社員や販売店の動揺が広がり、市場の見方も厳しくなる
亀岡社長「否定はできない。しかし記者発表と同時に社員に対し『統合に向けしっかりやっていく』とメッセージを出した。社員や特約店の皆さんの理解を頂きつつ、一緒に統合へ向けてやっていきたい」
--いったん白紙に戻す選択肢はなかったのか
亀岡社長「申し上げたように、(両社の社員が)いろいろな分科会で話し合って積み上げたものは相当大きい。逆に言えば、大株主の反対さえ除けば、統合へのハードルは存在しない。たとえ時期が延びたとしても、そのアセット(資産)を生かすべきだ。全くの白紙にするのは関係者の努力を無にすることであり、絶対すべきでない」
月岡社長「全く同感だ。やり遂げる、という強いメッセージを社員に出している。白紙は全く考えていない。社員の動揺についてだが、経営とは『不測の事態をどう乗り越えるか』であり、今回の件では、社員や取引先との信頼関係をベースに準備してきたので、全く問題がないと思っている。ある意味でこれは(出光昭介)名誉会長、創業家から試されているのではないか。『“3つの懸念”を前にきちんと統合できるのか』と。今、“結婚前の健全なコンフリクト(衝突)”が起きている、それを乗り越えることが、新統合会社をきちんとマネジメントするために重要だとして受け止め、試練として乗り越えていこうと思っている。それは簡単なことではないが、『窮すれば通ずる』だ。にっちもさっちも行かなくなったときに活路が見いだせる、それが過去からの歴史の流れと思う。そこに私と亀岡さんは置かれているのだろう。関係者の動揺がないよう、創業家の理解を頂き、きちんと統合できるところへ進んでいきたい」
--いつまで延期するのか、見通しは。創業家の説得に数カ月、または数年かかるのか
月岡社長「数年ということはありえない。来年4月1日には間に合わないと判断したが、できる限り早く統合期日を定めたいと思っている。『未定』としたのは、期限を切らないことでゆっくり確認させていただく時間になると思うからだ。」
--では1年か、1年半か
月岡社長「もっと早くやりたい」
--1年以内か
月岡社長「はい」
亀岡社長「日本のエネルギーサプライへに責任を持つことが求められており、可及的速やかに統合するべきだ。しかし大株主の理解をしっかり頂くため、期限を一旦未定にして、しっかり話をさせていただくことにした。しかし『2、3年』ということは考えていない」
--出光昭介名誉会長は一旦賛同したそうだが、いつから反対に転じたと認識しているのか
月岡社長「8月15日の会見でも話したが、昨年末に『懸念がある』との質問状のようなものを受け取り、話し合いをしていたが、明確な意思表示はなかった。5月23日だったと思うが、内容証明郵便が届き、明確に『反対』だと知った」
--上場時のと今回とではどんな違いがあるのか。どう説得しようと考えているのか
月岡社長「当社は創業以来90年以上にわたり非上場だったが、今は上場企業だ。私は上場企業のトップであり、全ステークホルダーから理解を得ることが必要だ。当時と比べ、(創業家が)資本の論理、つまり『株式の3分の1を保有している』ことを前提に反対していることが上場の際との最大の違いだ。また、代理人を通じて話を受けていること、(創業家と)直接話ができていないことも当時との違いだ」
--JXと東燃ゼネラルが先に統合することになり、販売シェアなどで差が生じる。統合が遅れるデメリットをどう考えるか
亀岡社長「できる限り早く統合したい気持ちは両社とも持っているし、『2、3年』と言うことは考えていない。1985年に昭和石油とシェル石油が合併した際に実感したが、統合に必要なことは、いかにロケットスタートができる状態を作るかだ。くっつくことが大事なのではなく、ある程度時間をかけてでも統合初日からロケットスターできることが望ましいという判断だ」
--創業家と7月11日から正式に面談できていないとのことだが、「必ずや理解いただける」と考える根拠は
月岡社長「協議のテーブルに着いてもらうことが、理解をいただく大前提だ。家族の一員である全国の販売店からは、現場の厳しさを訴える声が上がっている。『厳しさは日々増している』『JXと東燃ゼネラルの統合でさらに厳しさが増す』『創業家と真摯に話してもらいたい』との声を頂いており、それが、(創業家に)協議のテーブルに着いて頂けるだろうと感じている根拠だ」
--創業家側の代理人から「取締役会に反対の意思が正確に伝わっていない」「書面への回答がない」との指摘があるが
月岡社長「(創業家側からの)一連の内容証明郵便を踏まえ、事実関係を社外取締役、監査役会で説明した。『瑕疵はない』という判断を取締役会で頂いている。この点については『終わっている』との認識だ」
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