出光・昭和シェル合併延期 元売り再編にも暗雲、際立つ政府の誤算
石油元売り大手の出光興産と昭和シェル石油が合併を延期したことで、政府が主導する国内石油業界の再編に暗雲が漂っている。人口減少やエコカーの普及による石油離れは歯止めがかからず、合従連衡による経営体力の強化は喫緊の課題だ。ただ、創業家の反対という“伏兵”の出現に政府は有効な手を打てず、混乱収拾の糸口は見えない。(田辺裕晶)
「合併はうまくいってほしいが、事態の打開は事業者側に任せるしかない」
経済産業省の幹部は出光のお家騒動に言葉を濁す。「個別案件には関与しない」というのが表向きの理由だが、出光が政府の反対を押し切り、国際的に孤立したイランから大量の石油を買い付けた昭和28年の「日章丸事件」以来、連綿と続く出光と政府との距離感が透けてみえる。
だが、石油業界の再編は待ったなしだ。経産省によると、国内のガソリン需要は毎年2%程度の減少が続いており、平成32年度には今年度比で1割程度目減りする見通し。地方では給油所の倒産も相次いでいる。
ガソリンを供給する石油元売り業界は大手5社がせめぎ合い、製油所の稼働率を維持するため供給過剰を招く悪循環に陥った。油価の下落で高い時期に仕入れた石油の在庫評価損も発生し、業績は低迷している。
政府は業界全体の生産規模を調整するため「エネルギー供給構造高度化法」に基づき製油所の統廃合を求め、元売り各社に合併を促してきた。世耕弘成経産相は「元売り業界が、国際社会や日本の需要減少のなかで生き残るには、再編は避けて通れない」と指摘する。
出光と昭和シェルの合併時期が不透明になったことで、同時に進むJXホールディングスと東燃ゼネラル石油の統合にも狂いが生じる恐れがある。各社の合併を審査する公正取引委員会は元売り業界全体の競争環境を精査しているが、JXと東燃の合併だけが先行すれば業界に1強が誕生することになり、審査の前提が変わるためだ。
出光創業家の“お家の事情”が、元売り業界にも波及する形となるだけに、業界では「国主導で進む再編なのだから、出光創業家の説得も国が当たってほしい」(元売り大手幹部)との“恨み節”も漏れている。
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