旧国鉄時代から、予算と引き換えの政治的な介入は新線計画の足かせとなってきた。計画に遅れが生じ、“政治新幹線”ともいわれた整備新幹線と同じ轍(てつ)は踏みたくない、との思いはJR東海内で根強い。
特に旧国鉄改革を率いた3人のリーダーのうち、唯一、葛西敬之会長が現職として残るJR東海は、政官の横やりを嫌う体質が色濃く残っている。中間駅の建設費用を負担する方針を打ち出した際、山田社長は「中間駅で議論していては進まない。私たちでやって早く開業する」と強調した。
ただ、9日の山田社長の発言は、単なる反論というには徹底しすぎていた。
『関西財界など民間が資金を拠出すれば、大阪開業の前倒しが可能』との意見に対し、山田社長は「気楽な意見だ。利子のないお金があって、利益が出てから返せばいいのであればできるが、(そんなお金が)世の中のどこにあるのか」と突き放した。