羽田の国内線発着枠は来年3月に1日当たり25枠(年間約2万回)増える予定で、国交省はこれを6社に割り当てる。羽田の発着枠は1枠当たり「年間20億~30億円の収入をもたらす」(航空関係者)とされ、一度発着枠の権利を得られれば継続して利用できるため収益メリットは大きい。
公的資金の注入を受け、会社更生法の下で再建を果たした日航は、2012年3月期に全日空の約6倍の最終利益1866億円を計上。今後7年は法人税も免除される見通しで、日航の事業拡大には「競争環境に不公正が生じる」(全日空の伊東信一郎社長)との懸念が出ている。
破綻の影響考慮せず
国交省は当初、こうした指摘と「発着枠とは切り離して考えるべきだ」(国交省幹部)として、配分基準では破綻の影響を考慮しない方針だった。
だが、全日空や新興航空各社の主張を踏まえ、有識者会議の委員の一部からは「日航の経営再建問題をどう考えていくかの議論は避けられないのでは」との声が上がっており、10月1日に予定されている次回以降の有識者会議では日航の扱いに議論が及ぶ可能性も出てきた。