新規発着枠の日航への割り当てに反対する全日空の強硬姿勢の背景には、公的支援による経営再建で、ただでさえ大きく水を開けられた日航との収益格差が、羽田枠の配分によってはさらに開きかねないとの危機感がある。
また、経営破綻に伴って不採算の国内路線を廃止した日航に対し「地方路線の維持を担ってきた」という自負もある。
利用客30万人未満の低需要路線の運航比率(2010年度実績)をみると、羽田発着路線は全日空の65%に対し、日航は35%。 全日空は、地方空港との協力関係を結んで需要を掘り起こすキャンペーンを実施するなど収益確保への自助努力を重ねてきた。
会社更生法で身ぎれいなったから、新たな国内発着枠で事業を拡大しようというのは「むしが良すぎる」との思いも強いようで、発着枠の配分基準の議論では「地方経済の発展は、日本経済の発展に有効な要因」と自社の貢献度を主張する。
新興会社も獲得意欲 航空市場の将来図
もっとも、日航も全日空の主張に譲る気配は全くない。国内の低需要路線の中でも離島路線は26路線を運航し、過去5年間に比べて拡充しているとのデータを示し、「地方路線への貢献を続けてきた」との立場だ。