トヨタは、高級SUV(スポーツ用多目的車)「レクサスRX」の生産のほとんどを、カナダに移管することを決めた。日産も、九州で生産していた海外向けSUV「ローグ」を、次期モデルから米スマーナ工場(テネシー州)、韓国ルノーサムスンの釜山工場での生産に切り替える。
歴史的な円高水準の定着は、産業界全体で海外生産への移管の動きを加速させている。ところが、国内生産の空洞化が進んだ電機業界が、グローバル競争で厳しい戦いを強いられていることを考えれば、「競争力を維持するためにも、国内生産は一定数は残さなくてはいけない」(大手首脳)との声は強い。トヨタが300万台、日産が100万台という国内生産維持の“コミットメントライン”を宣言しているのも、そのためだ。
しかし、日産九州の児玉社長は「(コミットメントだけで)国内生産がいつまでも守られるわけではない。さらに競争力を引き上げる努力が必要」と危機感を募らせる。コスト競争力を保つ努力はもちろん必要だが、それ以外にも、付加価値の高いクルマを生み出す新たな競争に挑まなければ、“最後のとりで”を守り抜くことは到底できない。(平尾孝)