「働きやすい環境」は、本社工場にも“完備”されている。芝生に囲まれたコンクリート打ちっ放しのオフィス、長良川をイメージしたプール、名画を集めた美術館、さらにコンサートホール、フィットネスクラブ、雀荘…まるでリゾート施設と見間違うほどだ。
まだある。3年に1度は全社員で海外旅行。夜勤はなし。売り上げ目標もなし。「中小企業はどうしても景気に左右されやすい。数字で引っ張るだけではダメ」(金田社長)だからだ。
にもかかわらず、23年は売上高75億円と過去最高を記録した。利益率も2ケタ近くを確保し、低コスト体質が定着した。同社の「社員の満足度」をあげる取り組みは注目を集め、いまや破竹の勢いの韓国サムスン電子が、中堅社員研修に同社の視察を組み入れた。
「生き残るためには、未知の分野への挑戦と新しい市場の開拓が不可欠。それには、ますます人の力が必要になる。人への投資は削らない」と金田社長。「社員の幸せ」に投資して社業を活性化へ。同社の取り組みは人材育成のヒントになりそうだ。(内山智彦)
◇会社データ◇
本社=岐阜県関市桃紅大地1
創業=1560年
事業内容=鋳物製滑車、特殊ねじの開発・製造
売上高=75億円(平成23年12月期)
従業員数=330人