失敗に学ぶトヨタ75年の歴史 ヒットにつながる情熱のものづくり (2/4ページ)

2012.11.24 10:15

4代目クラウン。「クジラ」の愛称も付いたが、先進的なデザインから販売は伸び悩んだ=愛知県長久手市(内山智彦撮影)

4代目クラウン。「クジラ」の愛称も付いたが、先進的なデザインから販売は伸び悩んだ=愛知県長久手市(内山智彦撮影)【拡大】

 高度経済成長という“熱気”を背景に、トヨタ初の大衆車として送り出されたのがパブリカ。価格は38万9千円で、ヒーターやラジオはなく内外装も質素。マイカーを所有したいという要望に応えようと、低価格と実用性に重点を置いた。

 しかし、その思いとは裏腹に販売は今ひとつ。後にカローラプロジェクトに参画したトヨタOBの諸星和夫氏は「みんなが買えるクルマを目指したが、消費者はラグジュアリー感を求めていた」と話す。初めて買うクルマに夢を求めた大衆のニーズと、トヨタの考えが合わなかったのだ。

 「ヒーターを付けると価格が高くなってしまう。車の性能はよかった。でも売れなきゃね」。豊田章一郎名誉会長(87)はこう振り返った。

 パブリカの反省をもとに新しい大衆車の開発をスタート。性能、価格などあらゆる面で「80点主義+α」を掲げ、41年に生まれたのがカローラである。加速性能、リッターあたりの馬力で当時の最高水準となったエンジン、高速走行時にも高い安定性を保つ足回り部品など、独自開発の国内初技術を満載。値段以上の高級感を出し、販売首位への地歩を築いた。

国産車では最長の歴史を誇る「クラウン」

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