4代目クラウン。「クジラ」の愛称も付いたが、先進的なデザインから販売は伸び悩んだ=愛知県長久手市(内山智彦撮影)【拡大】
クラウンも試行錯誤
高級車「クラウン」はトヨタの出発点といえるクルマであり、昭和30年の初代発売以来、国産車では最長の歴史を誇る。これまで高級車市場でトップを走り続けたが、実はつまずきもあったという。
46年発売の4代目クラウンは、ボディ一体型のバンパーやヘッドライト上部に横長に方向指示器を付けるなど特徴的な外見から「クジラ」の愛称も付いたほどだ。トヨタには、クラウンに浸透している「固い」イメージを刷新しようという狙いもあった。
だが、斬新過ぎるデザインは保守的なユーザー層から支持を得られず。初代クラウン以来、20年近く守り続けてきたクラス首位から陥落した。
「先進性、強すぎる個性が敬遠された。高級感、安定性、保守性がクラウンのよさと思われていた」とトヨタ博物館の担当者は指摘する。4代目の“失敗”を受け、5代目はかつての保守的なデザインに戻したほか、その後も小さな反省は続いた。昭和54年の6代目について、章一郎氏は「格好はいいけど、エンジンがオーバーヒートすることもあった」と振り返る。