東北電による東電との共同発電【拡大】
東京電力が策定した中期経営計画が、東北電力社内で波紋を広げている。東電は原発事故の対応強化に向け、福島県内での火力発電所建設など復興計画を掲げた。だが、東北電にとっては“寝耳に水”で、自社管内での東電の電力事業拡大に心穏やかではない。さらに、東電は政府の「電力市場完全自由化」に対応していく方針を打ち出したが、隣接する東北電は今も東日本大震災からの復旧作業に追われている状態だ。長年にわたり築かれた両電力の協力関係は大きな曲がり角を迎えつつある。
電力供給支え合い
「東電は本店機能の一部を福島に移転するというが、どこまで東北で業務を広げるつもりなのか」
東電が今月7日に公表した中期経営計画に盛り込んだ来年1月の「福島復興本社」設立計画に、東北電社員の間からは疑心暗鬼の声が上がった。
東電は設立趣旨を「賠償や除染、地域支援強化への迅速な意思決定と実行」と説明する。だが、計画には同時に、地域の雇用回復策として沿岸部での「世界最新鋭の石炭火力発電所」建設計画なども盛り込まれた。
別の電力会社幹部は「経営基盤強化を模索する東電にのみ込まれると心配するのは当たり前」と、東北電の心理を代弁する。