ただ、値上げによる九電の経営改善は、顧客の収支悪化を意味する。日産自動車は今夏、主力小型車「ノート」の生産を神奈川県から福岡県に移したばかり。
人件費が安く成長市場のアジアにも近いためだが、担当者は「電気代上昇分をどう吸収するか、企業努力はほぼ限界」と訴える。
九電と関電がこの時期に値上げ申請したのは、4カ月程度かかる審査期間を逆算し、値上げの実施日を、大半の顧客企業と契約更改する来年4月1日に間に合わせるためだ。
一方、値上げには給与カットなど痛みも伴うため、電力会社には、「申請は衆院選後の原発政策を見極めてから判断したい」(大手電力幹部)との気持ちも強い。経営余力のある社は当面値上げを見送るが、体力がない社は、選挙後、年明けにも値上げ申請するとみられる。