国内の粗鋼生産量【拡大】
世界経済の減速や新興国の成長鈍化で需要が伸び悩み、冷え切る国内の鉄鋼業界は2013年も「冬の時代」を抜け出せそうにない。中国や韓国メーカーが増産に走り、だぶついた鋼材が円高を背景に割安な価格で国内に流入、収益が圧迫される構図に変化の兆しが見えないからだ。コスト削減や新興国需要の獲得、付加価値の高い鋼材の強化で生き残りを目指すものの、局面打開の決め手に欠く各社は活路を見いだせずにいる。
合併効果まで待てず
「足元と今後の経営環境は、統合の検討開始を公表した2年前よりも、はるかに深刻で容易ならざる状況にある」。新日鉄住金の宗岡正二会長兼CEO(最高経営責任者)は4日の年頭挨拶で、約700人の管理職らに強い危機感を訴えた。
旧新日本製鉄と旧住友金属工業が合併し、12年10月に発足した新日鉄住金は、合理化でひねり出した経営資源を研究開発や海外生産の強化に充て、製品の高度化やコスト競争力の向上を図ることを狙っていた。