火力発電システム分野での事業統合を発表した日立製作所の中西宏明社長(右)と三菱重工業の大宮英明社長=2012年11月、東京都千代田区(大山実撮影)【拡大】
三菱重工業と日立製作所が火力発電を中心とした発電関連事業を来年1月に統合する。長年、ライバル関係にあった両社が稼ぎ頭の事業統合に動いた背景には、国内市場に安住したままではじり貧に陥るという強い危機感があった。
世界市場をにらんだ“スーパー重電メーカー”の誕生は、ライバル東芝の事業戦略に影響を与えるのは確実で、さらなる業界再編の呼び水ともなりそうだ。
繰り返した消耗戦
「何ができるか、よく話し合ってみましょう」
うだるような暑さが続いた昨年夏。都内で極秘裏に会談した三菱重工の大宮英明社長と日立の中西宏明社長は、火力発電事業の統合に向けた協議を進めることを互いに確認しあった。
両社の平成24年度の発電事業の営業利益見通しは三菱重工が900億円、日立が260億円といずれも堅調。にもかかわらず、両社長が統合に向けた交渉に乗り出したのは先行きに対する強い危機感からだった。