火力発電システム分野での事業統合を発表した日立製作所の中西宏明社長(右)と三菱重工業の大宮英明社長=2012年11月、東京都千代田区(大山実撮影)【拡大】
期待できる相乗効果
統合後、単純合算の事業売上高は約1兆1千億円。単独では5倍以上の格差があったシーメンスの約2兆9千億円、GEの約2兆5千億円の背中はなお遠いが、「統合で追い上げる体制が整う」と両社長は口をそろえる。
なぜなら両社は得意とする製品や展開地域に重複が少なく、シナジー(相乗)効果が見込めるからだ。三菱重工は大型ガスタービンの発電装置が得意で、日立は中小型と棲み分けができている。これまでは片方の分野しか受注できなかったが、統合後はそれぞれの製品を売り込め、受注機会は格段に増える。しかも三菱重工は中東や東南アジアに強く、日立は欧州やアフリカ中心に展開しており、補完関係が築ける。
単独では大規模投資が必要となる新製品開発や新規市場開拓を統合で効率化。余分な資金と時間を省き、今後の成長が見込めるアジアなど新興国市場の需要取り込みに注力することができる。相乗効果を早期に発揮すれば「世界の3強と呼ばれる存在」(大宮社長)も、決して“夢物語”ではなくなる。