責任軽視の風潮はアップルだけの話ではない。昨年12月25日に国交省の立ち入り検査を受けた三菱自動車は、エンジンオイル漏れという重大な欠陥が分かってもリコール(無料回収・修理)を5年間しなかった。詳細は検査結果を待つほかないが、そこにはものづくり企業が内包する危機の臭いが漂う。
旧三菱財閥創始者の岩崎弥太郎氏は、国家への奉仕、国利民福の実現、社員の人間としての完成を経営理念に据えた。これらはいまに続く三菱三綱領(社会への貢献、フェアプレーの徹底、グローバルな視野)の原点となったが、後輩たちの度重なるアンフェアな姿勢を岩崎氏はどう思うのだろうか。
海運事業などで岩崎氏と対峙した渋沢栄一氏は「富をなす根源は仁義道徳」と考え、「道徳経済合一説」を提唱した。「富をなす」は「ものづくりの」に置き換えることができよう。ものをつくることで利益を得ることは世の中の役に立ち責任を果たすからこそ価値があるという考えは、日本だけでなくグローバル経済でこそ重要性を増す。