サントリーホールディングス(HD)が子会社のサントリー食品インターナショナル(東京都港区)を東京証券取引所に上場することを決めた。目的は海外でM&A(企業買収・合併)を仕掛けるための資金調達だ。
上場時の時価総額は1兆円規模とみられ、調達額も数千億円に達する見通しだ。ただ、サントリーHDは、創業家の資産管理会社が株式の約90%を持つ非上場企業。その下で、上場企業としてのガバナンス(企業統治)をどう確保するかが課題となる。
いいところ取り
「ファミリーカンパニーとパブリックカンパニーのいいところを50%ずつ取るつもりだった」。平成22年2月、サントリーHDの佐治信忠社長は、キリンホールディングス(HD)との経営統合交渉が決裂した際にこう語った。
少子高齢化もあって国内市場が頭打ちの中、両社の統合交渉は共に世界を目指すという目的があった。ただ、統合後の経営体制については、上場企業であるキリンHDと非上場のサントリーHDでは考え方に大きな隔たりがあった。サントリーHDは、創業家が一定の影響力を残すために、資産管理会社が統合後の新会社に3分の1超を出資することを主張。これをキリンHDが拒否し、溝は埋まらなかった。