リスクの指摘も
非上場の親会社の下で子会社が上場する例は「欧州やアジアでは珍しくない」と野村証券経済調査部の西山賢吾シニアストラテジストは話す。非上場といっても、サントリーHDは社債発行のため、上場企業並みに有価証券報告書を出してきたこともあり、同社幹部は「情報開示はきちんとできている」との自負もある。
ただ、日本では16年に、西武グループ創業家の資産管理会社である非上場のコクドが、子会社で上場していた西武鉄道の保有株数を過少申告していた証券取引法違反事件が発覚。決していいイメージはない。
特異な形態での上場には、リスクを指摘する声があるのも事実だ。
例えば、サントリー食品が、親会社サントリーHDの大株主である創業家の意向ばかりを重視し、他の一般株主の利害を考えない「利益相反」が起こる可能性だ。グループ会社のサントリー酒類も海外のM&Aを「いいブランド、パートナーがあれば検討する」(相場康則社長)としているが、サントリーHDが調達資金を吸い上げ、サントリー酒類に流用することは「筋が通らない」(外資系証券)との見方が強い。
こうした批判を払拭(ふっしょく)するためにも、大株主である創業家はサントリー食品の上場で新たに生まれる一般株主の声を経営に反映させることが不可欠だ。特異な上場形態を選んだ以上、通常より透明性の高いガバナンスの構築が求められるのは間違いない。(藤沢志穂子)