サムスン電子が発表した85型4Kテレビ=1月7日、米国ラスベガス(米沢文撮影)【拡大】
サムスンはライバル企業の研究者を引き抜き、技術を吸収することで成長を遂げてきた。日本の数多くの研究者も高額でヘッドハンティングしてきたが、「収益に結びつく技術だけを求め、長期的な開発や研究者の育成を怠ってきた」(証券アナリスト)。
その“負い目”をサムスン自身も実感しているからか、パナソニックやシャープなど日本企業の技術力に対して畏敬の念を示す幹部は少なくない。
「日本企業には足を向けては眠れない」。豪腕で知られる李健煕(イゴンヒ)サムスン会長は口癖のようにこう話す。関係者によると、サムスンが半導体事業に本格参入した1970年代、日本のある大手メーカーから技術指導を受けた恩義があるという。日本は技術で“教師”だが、皮肉にも業績面では立場が逆転している。
日本企業は海外のライバルがうらやむ先端技術を持ちながら、なぜ企業間競争で勝てないのか。最大の元凶は「商品化へのスピード感のなさ」だ。