国内の衛星携帯電話の契約台数【拡大】
自治体の導入を後押ししているのが、内閣府の衛星携帯電話導入補助金制度だ。災害時に孤立する恐れがあるとされる集落が全国に1万9000カ所あり、国が導入費用の半額を助成し、万一に備えた通信確保を支援している。11年度は1000カ所以上の集落に配備されたもようだ。
需要増大とともに販売競争も激しさを増している。官公庁や自治体の入札では大手通信事業者に加え、衛星通信サービス専業の日本デジコム(東京都中央区)や代理店など各社が参入。1件当たり数十台から数百台規模の大型案件では“戦略的価格設定”も常態化。営業現場では激しい情報戦が繰り広げられている。
アイサットフォン・プロの場合、「実勢価格は5万円を切っている」(竹井裕二・日本デジコム社長)が、場合によってはさらに安い見積もりも飛び交うとみられている。事実、ドコモやKDDIも当初の価格表示は「オープン価格」に変えた。
アイサットフォン・プロの投入によって、両社の従来型機種の販売も上向いている。「(従来型機種と)食い合ってしまうかと心配していたが、相乗効果が出ている」(KDDIソリューション営業本部)。大震災後、顧客の注目度が一挙に増したことが大きな要因だ。