新基準骨子案の対策【拡大】
しかし、施設の大きさや数などはほとんど明確になっていない。工事には巨額の投資が必要になるため、関電など電力会社側は判断をしづらい状況にある。
見えぬ第2制御室
中でも、新基準骨子案のあやふやさを象徴する施設が「第2制御室」だ。
航空機テロや大規模災害で中央制御室が使用不能となる事態に備え、原子炉建屋から離れた場所で原発をコントロールする設備だ。だが、具体的な設置場所は示されていない。
規制委が行ったヒアリングで、事業者側は第2制御室の設置場所に「地下」を示したが、規制委側は「原子炉から少し離れた場所」の例として「100メートル先」をあげただけで、結論は出ていない。新基準の検討チーム内でも、具体的な議論がなされていないためだ。
また、「航空機が激突した衝撃を、基準として算定できるのかも疑問だ」(規制庁)というように、設置の前提条件にも疑わしい部分がある。規制庁の担当者は「テロ対策は原則公開しないのが国際常識。新基準でも、詳細には踏み込めないのでは」と推測する。