主要国の賃金上昇率【拡大】
ピークから5.7万円減
長引くデフレと激しい国際競争を背景に、日本の賃金は平成9年をピークに下落傾向が続く。厚生労働省の毎月勤労統計調査(速報)によると、ボーナスなど全ての給与を合わせた24年の現金給与総額(月平均)は前年比0・6%減の31万4236円。現在の調査方法に変更した2年以降で最低。9年に比べ約5万7千円減少した。
給与総額が過去最低に落ち込んだのは、世界経済の減速や円高に伴い、製造業を中心に一時金(ボーナス)が減少したことが主因だ。かつての春闘では、物価上昇に合わせて賃金体系を一律に引き上げるベースアップ(ベア)が最大の争点だったが、デフレの定着とともに、業績の変動で調整しやすい一時金が“主戦場”となった。
25年3月期に本業のもうけである営業利益で1兆1500億円を稼ぐと予想するトヨタ自動車でも、それは変わらない。トヨタ自動車労働組合は今春闘で205万円(組合員平均)の一時金を要求、5年ぶりに200万円を超えたが、ベアに相当する賃金改善要求は4年連続で見送った。