主要国の賃金上昇率【拡大】
その理由について、トヨタ労組の鶴岡光行執行委員長は「取り巻く環境に円安のほかに好転した材料はない」と説明する。円高の是正についても、自動車メーカーなどの労組で組織する自動車総連は「この為替水準では国内雇用を死守できるレベルにはない」と指摘。雇用を守るためには、トヨタの労組でさえ、固定費アップにつながるベアを簡単には要求できない。
「ボーナスは2千円」
業績が悪い企業であれば、状況はさらに苦しい。
「この先、給料が上がる見込みはほとんどない。昨冬、5年ぶりに出たボーナスは1人2千円。税金を引いた1500円くらいが振り込まれていて、悲しいやらむなしいやら…」。東京都葛飾区の運送会社に勤める男性(45)はため息をつく。
男性は食料や飲料を小売店に配送する仕事に就いている。夜勤シフトに入ることが多く、夜勤手当や残業代もあり給料は手取りで月40万円程度ある。だが「以前は50万円くらいもらっていたんだけど…」と話すように、住宅ローンと3人の子供を抱え暮らしが楽になる兆しはない。