大きな文字やアイコンが特徴の富士通の「らくらくスマホ」の操作画面【拡大】
フランスでは高齢者向けのSNSや写真をスマホ利用者などで共有するソフト、SNSを人が常時監視するサービスを端末とセットで売る。日本と仏のSNSの連携といったサービスの拡充を順次進めていく構えだ。
日本メーカー 海外再浮上の試金石に
サービスの充実を図る富士通の戦略は「薄利で何百万台売らないと黒字にならない無謀なビジネスの繰り返し」(大手電機メーカー幹部)だった日本勢の商法から脱却を目指す一環だ。海外向けらくらくスマホでは、搭載する米グーグルのOS(基本ソフト)「アンドロイド」にも手を加え、使いやすさを向上させるなど製品改良も重ねる。
富士通は、らくらくスマホでブランドの知名度を高めた上で、「アローズ」など高機能スマホを海外で展開する青写真を描く。「価値を提案して利益を取るとともに、フランスで販売地域を限定しながら力をつけ、長期間をかけて海外を攻略する」(大谷氏)
調査会社、ガートナー・ジャパンの佐藤篤郎アナリストは「世界でのシニア向け携帯電話の需要は底堅く、出荷台数の上積みを狙う富士通にとっても海外展開は欠かせない。欧州全体で1%程度のシェアをまず確保できればいい」とする。富士通の戦略の成否は、日本の携帯メーカーが海外で再浮上する試金石になりそうだ。(是永桂一)