足元では、テレビ、時計、廉価なスマートフォンなど新商品開発がうわさされているが、一度剥がれ落ちた成長期待を立て直すのは難しい。4月の決算発表を機に、英バークレイズは14年の利益予想を2割も下方修正した。
年初には米投資会社グリーンライト・キャピタル率いるデイビッド・アインホーン氏が配当の高い優先株を発行しやすくするようにアップルを訴えた。一株主に訴えられるのは、アップルが「普通の会社」になった証しである。
とはいえ、アップルの神話崩壊は、米国の資本市場にとっては明るいニュースとして解釈できる。故ジョブズ氏の後を継いだティム・クックCEOは、今回の決算で株主還元策を決めなければ、取締役会で突き上げを受けるのが必至だった。天下のアップルとはいえ、市場の圧力で経営効率が改善される企業統治機能が働いていたのだ。