待機児童数と保育所定員数【拡大】
“既得権益”の壁
多くの自治体で株式会社が排除されている理由について、山口社長は「社会福祉法人が既得権益を守りたいからだ」と指摘する。株式会社の参入を認めるかどうかは自治体の裁量次第だ。社会福祉法人には国からの支援に加え、法人税なども非課税。企業の参入で保育園が増えれば、「園児が奪われるため、行政に圧力をかけている」。
株式会社の認可を認めた自治体でも「参入しようとすれば、中傷するビラをまかれるなど、ありとあらゆる嫌がらせを受ける」(山口社長)という。
参入を拒まないよう求めた今回の厚労省の通知で、こうした状況の改善が見込まれる。「自治体の態度が大きく変わってきた」(保育所運営大手サクセスホールディングスの瀬木葉子執行役員)のも事実だ。
ただ、通知を受けても、すべての自治体がすんなり株式会社の参入を認めるかは微妙。全国で最も待機児童数が多い世田谷区は「(株式会社参入の)リスク回避の方法を決めるため、一定の時間が必要」(保育計画・整備支援担当課)と慎重姿勢だ。同様の対応をする自治体は少なくないとみられ、旧来の「秩序」を打ち破るのは、そう簡単ではなさそうだ。