ウガンダの子供たちに、簡易手洗い設備でせっけんを使用した手洗いを教える更谷社長=今年2月(同社提供)【拡大】
その結果、乱開発の実態が明らかになるとともに、アブラヤシから採取するパーム油は、現地農家の貴重な収入源であり、世界の食用油脂の安定供給を図る上で不可欠な食材であることも分かった。
同社は「一企業がパーム油を使わないだけでは、この問題は解決できない」と判断し、ヤシノミ洗剤シリーズ売上高の1%をボルネオの熱帯雨林保全活動のため環境保護団体「ボルネオ保全トラスト」に寄付するようになった。
また、ボルネオ調査を通じて、非政府組織(NGO)や農園経営者、企業経営者らでつくる非営利組織「持続可能なパーム油のための円卓会議」(RSPO)の存在も知った。
RSPOは、世界自然保護基金(WWF)などが参画して16年に発足し、サラヤも同年に加盟した。認証パーム油を使った洗濯用せっけん「ハッピーエレファント洗たくパウダー」も昨年発売した。
新ビジネスも
サラヤは22年、アフリカ東部・ウガンダで国連児童基金(ユニセフ)が展開する手洗い普及活動「100万人の手洗いプロジェクト」の支援に乗り出した。
戦後の日本で、公共施設用の液体せっけんとポンプ容器を開発し、赤痢などの感染症対策に努めた同社。ウガンダでは、5歳未満の子供たちの死亡率が1割弱にも達することから、ユニセフの活動を27年まで支援する。