フェイスブックは先月、アンドロイド端末用のモバイルポータルアプリ「フェイスブックホーム」を発表したが、ウェイズをフェイスブックホームに組み込めば、ユーザーをグーグルマップに移動させる必要がなくなる。現状では地図機能にアクセスしようとすれば、ユーザーはフェイスブックのエコシステムをいったん離れなければならない。これはアプリ内でのエンゲージメントが広告販売の主要な指標となる市場において、うまい戦略とはいえない。
それほど切実ではないとしても、フェイスブックは単にユーザーのエンゲージメント度合いが高いアプリを獲得して、いずれそれを収益化したいと考えているかもしれない。位置情報は地域別広告にとって非常に重要だ。地域ごとに限定した広告はまだ誰も成功できていない未開のマーケティングプラットホームだと言ってもよい。
◆10億ドルの価値
と、ここまで述べたが、これだけではフェイスブックのウェイズ買収を正当化する理由としては足りないと思う。フェイスブックが写真共有アプリのインスタグラムを買収したとき、その機能はフェイスブックのユーザー基盤と既存の製品ラインアップに簡単に組み込むことができるものだった。その上、インスタグラムは放っておけばソーシャルネットワークとして競合することが見えていた、つまりフェイスブックにとって脅威だったのだ。