全原発が廃炉になった場合の電力会社への影響【拡大】
電力業界に“敦賀ショック”の余波が広がっている。原子力規制委員会が5月に日本原子力発電の敦賀原発(福井県)2号機直下の断層を「活断層」と認定、廃炉の可能性が高まったことを受け、敦賀原発と同様に原発敷地内の断層調査を受けている電力各社は「廃炉ドミノ」への警戒感を募らせている。日本原電は、あくまで再稼働を目指す構えで、長期戦覚悟で法的措置もちらつかせるが、廃炉を機に日本原電が経営破綻すれば、出資する電力各社の経営にも大きな打撃を与えるのは避けられない。電力業界からは日本原電の“救済”に国の関与を求める声があがる中、政府は廃炉ドミノを見据えた対応に乗り出した。
原電は対決姿勢
「不適切で容認できない」
規制委の専門家調査団が敦賀原発2号機直下の断層を活断層とする報告書を取りまとめた5月15日、東京都内で記者会見した日本原電の浜田康男社長は調査結果に強く反発。活断層はないとの主張が認められなかった場合、規制委を提訴する可能性に関し、「検討しなければならない局面が出てくるかもしれない」と含みを残し、規制委との対決姿勢をあらわにした。
日本原電が必死に抵抗するのは、敦賀2号機が廃炉になれば再稼働できる原発が事実上なくなるためだ。日本原電は保有する原発3基が停止。このうち、東海第2原発(茨城県)は地元が再稼働に強硬に反対しており、敦賀1号機は運転開始から43年が経過して「原則40年」の運転制限に抵触する。活断層調査がなければ、敦賀2号機は再稼働が見込める唯一の原発だった。
売電収入がなくても日本原電は販売先である東京電力など電力5社から原発の維持管理費として年間千数百億円の基本料金を受け取っている。だが、敦賀2号機の廃炉が決まると、その分の基本料金はなくなり、収益基盤の脆弱(ぜいじゃく)化は避けられない。