老朽化した原発の運転をめぐり、電力会社の悩みが深まっている。19日に原子力規制委員会が決定した原発の新規制基準では、運転期間を原則40年に制限。例外的に20年を限度に延長を認める場合でも、新基準への適合と特別な点検が課せられる。全国の原発のうち、運転30年を超えるの原発は計17基。今のところ、電力業界は「廃炉の選択はない」との意見が大勢だ。しかし、政府は廃炉にする際の負担をやわらげようと会計制度の見直しに動き出しており、電力会社の迫っている。
3基で積立金不足
「事業者が発電から廃炉措置までを円滑に運営していく意味では望ましい」
電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は14日の記者会見で、政府の廃炉に関する会計制度見直しの動きを歓迎した。
廃炉費用は電力会社が40年間かけて積み立て、電気料金に転嫁する仕組みで、原発の運転期間が40年より短くなることを想定しておらず、稼働していないと積み立てられない。営業運転開始から40年を超えた関電美浜1、2号機(福井県)と日本原子力発電敦賀1号機(福井県)の3基で積み立て不足が生じている。