三井造船との経営統合交渉を進めた前社長ら取締役3人を統合反対派が電撃解任した川崎重工業。“クーデター”の背景には、個々の事業部門が独立して強い権限を持つカンパニー(事業部)制という組織形態に加え、東京と神戸に拠点が分かれる物心両面の距離感があった。次期社長レースをめぐる勢力争いも影を落としたとの見方も出ている。
“多頭経営”の弊害か
「川崎重工は(取締役)みんなに代表権がある独特の経営形態。だからオープンな話し合いが必要だし、私が現役のときはそうやってきた」
川重のある役員OBはため息をついた。
同社は6月13日に開いた臨時取締役会で、長谷川聡社長と企画担当の高尾光俊副社長、広畑昌彦常務(肩書はいずも当時)を解任する緊急動議を10対3の賛成多数で可決した。3氏は三井造船との経営統合を水面下で進めていた。
企業では代表権をもつ取締役は自分の署名で契約、決裁が可能。大企業でも会長や社長、副社長、よくて専務までしか代表権は与えられない。