ヘッドライトバルブの生産ライン。ガラスの中にフィラメントが設置されている=ドイツ・アーヘン【拡大】
半世紀にわたって自動車用バルブのリーディングカンパニーとして君臨し、次世代照明の有機EL(エレクトロルミネッセンス)照明でも世界をリードするオランダ電機大手のフィリップス。日本の電機メーカーがお家芸にしていたデジタル家電で、中韓勢に劣勢を余儀なくされているのとは対照的だ。現地を訪れ、その強さの秘密に迫った。
事業拡大し成長
オランダとベルギーの国境に近いドイツ西部の都市、アーヘン。世界文化遺産になっているアーヘン大聖堂のある中心部から車で20分ほどの場所に自動車用ヘッドライトの光源となるバルブの“マザー工場”はある。
大人の背丈はあるガラスのチューブが4センチ程度のバルブの長さにカットされ、規則正しくラインを流れていく。紫外線をあてると、青く発光するのは、石英ガラスだからだ。高価だが、熱に強く、明るさを出せるメリットがある。ポイントごとに設置されたカメラが、寸法や形状などを瞬時にチェック。「Kaizen(カイゼン)」と書かれた場内のボードには、従業員が作業中に気付いた点などが記されている。