ただ、穀物調達は干魃(かんばつ)など天候に左右されるだけに「調達先の多様化はリスク回避のために不可欠」。豊田通商はアルゼンチンの大手ニデラとの提携を深めたい意向だ。三菱商事もブラジルのセアグロ株を譲り受けたアルゼンチン企業と近く戦略提携、米国、ブラジルに次ぐ新たな産地での足がかりを狙う。
北米や南米の穀物の向かい先は中国。その爆食ぶりは健在で12年の大豆輸入は前年比6.6%増の5920万トンと世界貿易の約7割を占める。
大手商社幹部が「中国の穀物輸入は別次元」と驚くほどで、かりに商社が産地対策で手を緩めれば「バイイングパワーを強めた中国企業に買い負け、日本向けの安定供給が脅かされかねない」(大手商社)。こうした懸念が投資を後押しする。
中国の爆食ぶりは、中国最大の食肉会社の双匯(そうかい)国際が今年5月末に、47億ドルで世界最大の豚肉生産の米スミス・フィールド・フーズを買収したことでも立証された。ある商社幹部は「うかうかしていると国策で動く中国企業に食料関連の投資先をさらわれる」と警戒する。
所得水準の上昇に伴い食の西洋化が進むアジア。中でも各社が照準を合わせるのが2億4000万人と世界第4位の人口を持つインドネシア。製粉事業やパンの生産販売に力を入れる。