アジア・中東も視野
インドネシア財閥のサリムグループと敷島製パン、双日が1996年に合弁でスタートしたパンブランド「サリ・ロティ」は、伝統的なコメ食文化の中、日本流の柔らかな菓子パンでブームを巻き起こした。
自転車部隊が路地裏を走り回り、チョコやジャムパンなど甘い物好きなインドネシア人のハートを射止めた。加えて同グループ傘下のミニスーパーがもつ約8000の店舗網を武器に、12年の売り上げは120億円と前年比46%増加した。
「(日本市場が約1兆4000億円だから)将来は3兆円市場に膨らむ可能性もある」(双日の市川善和小麦事業課長)との予測から年内に2工場を新設し、10工場体制で市場囲い込みに挑む。しかし強力なライバルも参戦する。昨年10月に進出を決めた日本国内最大手の山崎製パンで、日本勢との競争は激しさを増す。
パンや麺市場の成長を当て込み製粉事業への参画も相次ぐ。三菱商事は4月、同国3位の大手製粉会社に資本参加。豊田通商も、11年に投資したマレーシアの食品大手マライアンフラワーミルとインドネシア食品大手の合弁で同国に建設中の製粉工場が年内にも稼働。「市場がブレークする最高のタイミング」(早田元哉執行役員)で本格攻勢をかける。