新施策に活路
国内市場で苦境に立たされる一方で、富士通は6月から「高齢者向け」のスマホを仏で販売した。専用コミュニティーサイトを設けるなど「端末だけでなくサービスもセットにし、価値を提案して利益を取る」(大谷信雄常務)新戦略を打ち出し、海外市場に活路を見いだす。
パナソニックや富士通などはかつて「ドコモファミリー」と呼ばれ、一部開発費をドコモに負担してもらって携帯電話を共同開発してきた。“二人三脚”で「i-mode(アイモード)」、折りたたみ式携帯などに代表される日本独自の携帯電話市場を築き、安定した国内需要を国内メーカーで分け合い、一定の販売量を確保した。
しかし、こうしたドコモの主導による商品戦略は、一部メーカーを国内市場偏重に傾斜させ、スマホの開発に大幅に出遅れたメーカー側は国際競争力を養う間もなく、爆発的に拡大するスマホ市場で地位を確立することができなかった。今回のドコモのツートップ戦略に限らず、スマホ市場で競争力のない一部メーカーは携帯電話事業の収益がすでに悪化しており、ドコモ新戦略は「携帯事業の再編を模索していた各社の決断を早めただけ」(アナリスト)と見る向きもある。